[レポート] Oregon Eclipse 2017 Teaser in Tokyo

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日時:2017年5月27日
会場:ageHa(新木場、東京)

ageHaへは渋谷から無料のシャトルバスが出ている。首都高を走って、会場のすぐ隣りに到着するからとても便利だ。車内ではageHaのプロモーション映像が流れていて、それもまたなかなか楽しい。乗客は外人さんが多く、早くも車内で賑わっていたりする。ビールでも1、2本飲みながら揺られていると新木場の会場に到着だ。

ご存知の通りageHaにはフロアが複数ある。空中に吊り下げられたオクタゴン・スピーカーによるサウンドシステムが自慢のメインスロアARENA。バースペースの奥にある隠れクラブ的雰囲気のISLAND。外に出ると小さなプールを囲むようにWATER。屋台風のフードコートの隣りの箱がBOX。そして知らなかったのだが夏季限定のBEACHというスペースもあるようだ。1NIGHTのパーティーでもフェスティバルのようにいろいろなテイストを楽しめる作りになっている。

agehaフロアガイド

本日は8月に米国オレゴン州で開催される皆既日食フェスティバルの日本版プレ・パーティーだ。最近はこのプレ・パーティー(Teaser)というのをよくやっているようで、海外のビッグ・フェスティバルの名前がついたプレ・パーティーのフライヤーをよく見かける。

アーティーストのラインナップももちろんオレゴンでの本祭に準じたもので、ダチャンボ、YUTA、Kojiroなどの日本勢はもちろん、X-Dream、ATOMS、KOXBOXなど豪華なメンツが揃っている。

深夜の0時過ぎに到着して間もなくすると、BOXフロアでダチャンボのライブがはじまった。オレゴンでの本祭ではストリング・チーズの直前にプレイすらしい。いわゆるセカンド・ヘッドライナーということだ。いつも大盛り上がりのダチャンボだが、この日も勢いがあった。そして初期の頃に比べてサイケデリック色が強くなったような気がする。本祭でも堂々としたプレイでオーディエンスを楽しませてくれることだろう。

メインのARENAフロアでX-Dreamのライブがはじまった。ジャンとマーカスの二人組だ。彼ららしい緊張感のある音がフロアに響く。独特な音質だ。ステージ上で撮影しているとまたもや変態のMAGUと再会。手にはもちろん5Dを持っている。神戸から撮影に呼ばれたらしい。先々週のRe:birthと同じように、ナイスなポジションでアーティストに絡みつくように撮っている。後で見せてもらったが、5D+3軸ジンバル+16㎜フィッシュアイというほぼ最強の組合せで撮った滑らかな映像は素晴らしく、是非このサイトを訪れた人たちにも見てもらいたい。

MOVIE by MAGU(http://worldworldworld88.tumblr.com/)

酒好きのマーカスはこの日も上機嫌。ジャンもときどきトイレに行きつつノリノリでプレイしていた。絶妙なタイミングで往年の名曲も交え、古くからのファンであるMAGUも大喜びだった。

続いてのライブアクトはATMOSだ。ATMOSといえば個人的にはヨーロッパを思い出す。サモスラキにBOOM FESTIVAL。必ずいい時間帯にATMOSがプレイしていた。力強く美しいATMOSサウンドが大空に広がっていった。
この日はインサイドでのパーティーだったからか、いつもよりアグレッシブはプレイだったと思う。要所要所でJETを効かせまくってギュインギュインいわせていた。

ARENAフロアはこの後、メカニックスからKOXBOXへ。少しトイレの前で友達と喋っていると、酔っぱらった長髪の外人さんが「もう外は朝だぞ、プールサイドフロアも気持ちいいぞ」とiphoneで撮った写真を見せながら教えてくれた。

プールサイドへ出てみると、確かに夜はすっかり明けて完全に朝になっていた。ちょうどDJは大好きなDaijiroだ。一段高くなった足場の上からシャボン玉アーティストが次々とシャボン玉を作り出す。小さくて数が多いものから、大きなものまで自由自在だ。

ちなみにMixCloudにあがっているDaijiroのプレイで特に気に入っているのはこれ(↓)だ。だいぶ古い音源だが、この剃刀のようにソリッドな感じがDaijiroの真骨頂だと個人的には思っている。

ちょうどDJのYUTAに会ったので、どこのフロアでまわすのか聞いてみると、この日はISRANDフロアのオープイング・アクトですでにプレイ済みだという。「盛り上がりましたよ~」と言われてしまった。次週(6/10)の『LDG』について話をふると、なんとYUTA主催のパーティーだという。トランスの『MATSURI』、テクノよりの『LDG』というように使い分けているらしい。どうりでYUTAが3フロアあるうちのテクノフロア(unit)でプラインナップされているわけだ。YUTAのテクノセットはまだMixcloudでしか聴いたことがないので楽しみだ(→後日開催されたLDGのパーティーレポートはここをクリック

ARENAフロアに戻ると、KOXBOXのFRANK-Eがベテランらしい安定感のあるプレイでオーディエンスを盛り上げている。すると先ほどの長髪の外人さんがDJブースまわりをちょろちょろとうろつきはじめた。あ~、あの酔っ払い、コードにでも足引っ掛けてヤラカさなければいいが、、、と少々心配していると、、、

なんとKOXBOXが終わって次にプレイしはじめたのは、あの酔っ払い野郎だった!
そう、彼こそ今日のトリを務めるPARASENCE(ALEX)だったのだ!

PARASENCEといえばロシアン・トランスの代名詞的な存在だ。もともとALEXとZOLODによる二人組で、ロシアのビッグプロモータでもあり(マフィアでもあり)DJでもあるXP VooDooにより1998年にプロデュースされた。ネジれたノイズとウネるBass Lineで構成されたParasenseの音楽は“ダークサイケ”という新しい分野を開拓、それまでの主流であったメロディアスで時に情緒的なイスラエル系のトランスとは異なるサウンドで多くのファンを獲得した。2006年にZOLODが他界(交通事故という説と自殺説とがある)。現在はALEXひとりがPARASENCE名義で活動している。

parasence (alex)

自分はコンピに入っているトラックを何曲か聴いたことがあるが、実際のプレイを体験するのは初めてだ。・・・いい! いいよ~、PARASENCE!
プレイしている本人自身がビリビリビリビリ痺れまくっちゃってる感じで、そばにいるこっちまでビリビリしてくる。長髪を振り乱すところなんかも含めて、絶好調だったころのTARAMASCAを思い出させる。曲調はまったく違うが。そしてファットな体型も悪ガキ風でいい! SUICIDAL TENDENCIESとか大好きな西海岸の移民系スケート少年的な(?)感じだ。

とにかく楽しめましたPARASENCE。また誰か日本に呼んでくれないかな。ALEX自身はまだオレゴンでの本祭にはブッキンングされていないようで「I hope(行けるといいけど)」と言っていた。

今回のオレゴン皆既日食フェスティバル・プレパーティーはSOLSTICEとRe:birthによる主催だが、流石は日本トランス界のビッグ2オーガナイザーなだけに、アーティスト陣も豪華で各フロアとも楽しめる完成度の高いパーティーだった。


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