[レポート] rural 2018 ~10th Anniversary ~

rural2018_festival trip
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texts, photos and movies : A-sk
additional texts : tomoya.k
additional photos : Jiroken

日時:2018年7月14日~16日(土・日・祝)
前夜祭 :7月13日(金)
会場:内山牧場キャンプ場(佐久市、長野)

 

~~~ 謎の人物A-skによるレポート ~~~

 

テクノ好きの友達から「ruralは本当に良いパーティだから行った方が良いよ♪」と聞いていた。 今年で10年目となるruralは、国内屈指の良質なテクノ・パーティーだ。

毎年気になってはいたが、7月半ばのこの時期は僕の本業の繁忙期。今まで行きたくてもなかな行けなかった。 しかし、今年こそは! と参加を決意し、数ヶ月前からスケジュールをいろいろと調整。念願の初参加がかなったので、レポートしたいと思う。

rural2018_Festival Trip

 ■7月14日(土)
0:00

友人が経営する赤坂の美容室で真夜中に待ち合わせ、仲間6人で出発する。その中には海外のパーティーにも一緒にいったトモヤもいて、奴とは今回同じテントを2人でシェアすることになっている。車は前回 “The TRIANGLE” でも活躍したシャボン玉アーティストOnchiのデリカだ。

ruralの会場は長野県佐久市にある『内山牧場キャンプ場』。 都内から上越自動車道に乗り、佐久南ICから降りて約30分程で会場に着く。

タイムテーブル_rural 2018

 

3:30

エントランスに到着。この日はまだrural本祭ではなく前夜祭ということで、前売りチケットとは別に2000円を支払う。

エントランスからすぐ目の前にあるINDOOR STAGEではもう音が鳴っているが、とりあえず基地を作りたい。先に着いている友人に電話する。

「いまどの辺? 」

「テントサイトCに場所を取ってあります。ジュンさんたちも一緒です」

「おー、ジュンさんたちももう着いてるんだ!? いいねー、じゃ隣りに基地作っちゃおっかな? とりあえずそっち行くわー」

内山牧場キャンプ場は標高が1200メートルあるらしい。高尾山の標高が599メートルだから、ちょうどその2倍近くの高さになるということだ。

到着したのは深夜で真っ暗なうえ、会場全体に霧がかかっている。まだ前夜祭ということもあり人は少ない。車でテントサイトCまで移動し、点けっぱなしのヘッドライトを当てながらテントを立てる。

rural 2018 Floor map

軽く会場を散歩してINDOOR STAGEに入ってみる。まだ人はそんなにいないが、音はかなりカッコいい。

 

ちょっとした散歩のつもりがついつい踊ってしまった。しかしこのまま寝るタイミングを逃すと後に響くので、1度テントに戻ることにする。まだ本祭がはじまっていないので、メインフロアであるOPEN AIR STAGEは準備中。出店のほとんども営業していない。

標高が高い分、日差しも強そうだ。日中のテント内は暑くなりそうだから、日が昇る前に1回寝ておきたい。今回はトモヤとシェアしてテントを使う。2人でテント内に横たわるが、ついつい2人してしょうもない小話が続いてしまい、まんまと眠いのに寝れないという始末……。

6:00

あまりにも寝れないのでテントから外に出てみると見覚えのある顔が……、あ、JIROKENだ! Festival Tripではお馴染みだが、小さなパーティーからビッグ・フェスまで、国内のあちこちで移動図書館PARADICE BOOKSをやっている。もちろん、ここruralの会場にもPARADICE BOOKSのテントが立っている。

PARADISE BOOKS_rural 2018

本のセレクトもテント内外装のセンスも素晴らしく、パーティーのテイストに合わせて持ってくる本の種類も変えているらしい。

日本のパーティーにも外国人のお客さんが増えてきているので、誰が見ても楽しいビジュアル重視のアートな本や、音楽カルチャーに関する本もたくさん置かれている。僕も踊り疲れたときには絵本で癒されに来たりしている。日中は子供たちの憩いの場になっている。

PARADISE BOOKS_rural 2018

JIROKENと今後の日本のパーティー・カルチャーについて語りながら過ごしていると、だいぶ日も上がってきた。 とにかく標高が高い分、日差しが強烈だ。 タープ1枚くらいじゃ遮光しきれず、木の陰を探しながら少しづつ移動を繰り返してはチルしていた。

11 :00

結局一睡も出来ずにいると、OPEN AIR STAGEで音が鳴りはじめた。この3日間は運良く天気はすべて晴れ。ちょっとメインフロアに行ってみますかー。

天気予報_rural 2018

天気がいいのはありがたいけど、平地よりも太陽に少し近いこの日差しはヤバイね!

OPEN AIR STAGEに着くと出店もすべて完了していて、フロアがしっかりと出来上がっている。 夜の霧もなくなり、空は鮮やかなブルーと少しの雲。まるで天空の上にあるダンスフロアのようだ。

rural 2018_Festival Trip

うわー! このロケーション、マジやばくない? これはアガるわー!

そしてruralといえばこのテーブルマウンテン。初っ端からダイナミックな大パノラマのロケーションに圧倒される。こんなロケーションの中で踊れるなんて、マジでこの3日間が楽しみだ。

rural 2018_Festival Trip

13:00

まずは景気づけにHappy Shakeでも飲んで軽く散歩でも行きますかー。ご存知だろうがHappy Shakeとは、素材にごだわったフルーツで作ったフレッシュなフルーツシェイク屋。各地のパーティーやフェスティバルの会場を中心に人気のお店だ。

この暑い時期に冷たいフルーツシェイクを飲めるのは本当にHAPPY!! 僕のお気に入りは『スペシャル気まぐれMIX』だ! ZIPANGでのマル秘キャンペーンは素晴らしく、あの夜のことを忘れられない仲間たちも多いだろう。

happy shake_rural 2018

HappyShake_rural 2018

15:00

日中は本当に日差しが強過ぎたので、基地や友達の出店に顔を出しながらダラダラと過ごしていた。そういえば……、さっき途中にシャワーあったよね! 暑いし、昨日からお風呂も入ってないからシャワーでも浴びようよ!

トモヤと2人でシャワーを浴びにいく。シャワーは全部で4つ。値段は3分間で200円だ。日中は意外と空いていて、並んで待っているのは1人くらい。ラッキー♪ 

シャワールーム_rural 2018

めっちゃ便利だねー。 パーティ中にシャワー浴びられるの最高ー♪ と思ったら小銭が500円しかない。

「トモヤある?」

「いや俺もないっす」

両替に行くのも遠いし、誰かいないかなー?  と思ったら、すぐ近くに知り合いがいた。

「すいませーん、小銭がなくて……、100円玉ないかなー?」

「ちょっと待ってくださいね……、あ、100円玉4枚ならありますよー」

「お! じゃあこの500円玉とそれ交換してよ、お釣りはいらないからさ! じゃあこれ、トモヤ200円あげるよ。 で、俺がこの200円で入るから」

両替してくれた人にも100円程度だが気前の良さをアピールできた。年上らしく気前よく奢る……、ふふふ、カッコいい男だぜ、キラリ。

すぐ順番が来てシャワーに入る。

うわー、スゲー気持ちいいーー! 昨日からの汚れを落としてサッパリやーー!  頭も洗ってー、身体も洗ってー、髪の毛にもリンスをつけてー……と、そのとき。 ブーーーー、と音が鳴り突然シャワーの水が止まる。 え、 え、 嘘でしょ。 もう終わり!?!? 3分はえーーーー!

体はリンスまみれのまま終了。 オーマイガーーーー。 小銭小銭……、 いや小銭なんてない。さっきカッコつけてトモヤにあげたのと両替してくれた友達に“お釣りはいらねーぜ”なんて言ってしまった俺。ちーん、終わったな……。

とりあえず体についたリンスを馴染ませ外に出てみる。うわー、なんか気持ちわりー。

でもしょうがないか、カッコつけるもんじゃないぜ。てか、3分早過ぎだし、終わりますよーって合図なしで強制終了は少々酷な話だ。デリヘルのおねーちゃんだって10分前にはアラームかけて教えてくれるのに……。

まー、とりあえずヌルヌルだがいい匂いには変わりないはず。今日はこのまま過ごそう、キラリ。 

18:00

太陽も西日になり、日差しも和らいできた。踊れる準備をしてフロアにでも行きますかー。 OPEN AIR STAGEではBroken English Clubがプレイをはじめ、フロアにもオーディエンスたちが集まってきている。

 

気持ちよく踊りながら、ふと空をみあげると……、うわーー、めちゃくちゃ夕焼けが綺麗やん!!

ダッシュでフロアの後方へと走り、上の方までのぼる。うおーーー、夕焼けめちゃくちゃ綺麗じゃーーん! ダンスフロアを包み込むように広がる、ブルーからピンクへと変わる空のグラデーションが美し過ぎる。

rural 2018_FestivalTrip

うわー、カメラ忘れたー。 でも、iPhoneでも全然綺麗に撮れる。しかもこの夕焼けをバックにOPEN AIR STAGEでは、Broken English ClubからバトンタッチしたDJ NOBUがプレイしている。

 

 

rural 2018_Festival Trip

『クローザーを任されていた去年のタイムテーブルとは打って変わって、2018年は初日の19時〜22時に登場。 夜に向かう難しい時間もなんなくこなすのがDJ NOBUである。

国内外でも大人気の彼のプレイを見ようと、フロアには多くのオーディエンスが集まっていた。そのときのピンク色に染まった景色は皆の記憶に刷り込まれているであろう。渋く、深いミニマルで徐々に徐々にフロアを温め、オーディエンスの足を止めることなくじわじわはめ込んでいく……。

気づいたら、もうAntenesの時間だ。 DJ NOBUがじっくりと暖めたフロアに、注目の1人であるAntenesが登場する。事前に彼女の音をチェックしていたので期待していた。

彼女のミステリアスなビジュアルに、攻撃的なtechnoがまた雰囲気を出している。夕焼けから 漆黒の闇へと変化したフロアには、いつの間にか幻想的な霧が揺れている。昨日からまったく一睡もしていない疲れた体にムチをいれるように踊り倒す。 気づけば夢中になって踊っていた。 数十メートル先は見えない霧に囲まれた世界が彼女の奏でる音とマッチし、忘れられない空間をつくり上げていた。text by tomoya.k』

25:00

OPEN AIR STAGEからINDOOR STAGEへと移動する途中、キャンプサイトを越えたバンガロー・ゾーンにMIRROR BOWLERのデコレーションがあった。

Mirror Bowler_rural 2018

初日の今夜は霧が深く、その霧のおかげで、ミラーボールを照射する光が滲んだ光の筋をつくり、それが光線のようにいつもよりも多くの光の筋を演出してくれていた。自然の現象とMIRROR BOWLERの光の世界がMIXされている瞬間だった。それはとても幻想的で美しいものだった。

mirror bowler_rural 2018

しばらく光の中に包まれながら座っていると、目の前の外国人カップルが今にもはじまりそうなくらいの勢いでイチャイチャしあはじめているではないか! この幻想的な世界でイチャイチャするなんて、なんて羨ましいんだ! 僕にもちょっと……、ちょっとだけ……。

むぅ……、やはりダメか……。目前に広がるイリュージョンのような世界とは裏腹に、現実はやはりシビアだ。

25:30

せっかくの美しい幻想的な気分が台無しになってしまったので、INDOOR STAGEに行くことにした。こっちのステージでは、前夜祭から月曜日の朝8時まで、ずっと音が鳴り続けている。OPEN AIR STAGEの音が止んでからも、夜な夜な踊り続けたい人にはありがたい場所だ。

INDOOR STAGEもかなり盛り上がっていて、やはりこちらはこちらでめちゃくちゃ音がカッコいい。しかし、金曜から寝ていない僕はいい加減寝ようとテントに戻ることにした。

■7月15日(日)
9:00

あちー。暑過ぎるー。

太陽が昇り、テントの中がめちゃくちゃ暑くて目が覚めた。ジュンさんたちは 風呂に行くらしく、A-sk行くか? と誘ってくれる。

「あ、行きたいっすねー! 体ヌルヌルのままだし!」

内山牧場キャンプ場の素晴らしいところは、ロケーションだけでなく設備もかなり整っているところだ。シャワーの他に、大浴場付きのお風呂まであるのだ。

INDOOR STAGE横の階段を上がっていくと建物があり、そこがお風呂になっていた。大浴場の利用料金は大人1000円、子供500円。そして嬉しいことに、大浴場からは八ヶ岳が望むことができる!

大浴場_rural 2018

暑いお湯が日焼けした肌を一瞬痛いとも思わせるが、入ってしまえば踊り続けて疲れている体を温め、癒してくれる。 最高ーー!! ヌルヌルも取れたし♪

風呂も入って準備万端、そろそろフロアに繰り出すかー!  Onchiもシャボン玉の時間だし、フロア横の小さなタープの下に基地を作ろう。

11:00

荷物を持ってOPEN AIR STAGEへ移動。 日中は暑いが、フロアにはもう人が集まっている。ジュンさんはフロアの横の横でおもむろにヨガをはじめ、Onchiはシャボン玉をあげはじめている……。なんと自由で平和な空間なんだ。

rural 2018_Festival Trip

rural 2018_Festival Trip

rural 2018_Festival Trip

rural 2018_FestivalTrip

rural 2018_FestivalTrip

子供たちが無邪気にシャボン玉を追いかけている。外国人や家族連れも多いこのパーティーは雰囲気も最高だ。

rural2018_Festival tRIP

rural2018_Festival Trip

そんな360度パノラマの山々を眺めながらのピースで平和な空間に、音はミニマルでエッジィなテクノが流れている。ガッツリと踊らせてくれる。

18:00

本日のサンセット・タイムのDJはBatuだ。UK産ダンスミュージックのBatuのプレイを聴きながらサンセットに入る。夕暮れになっていくにつれて強烈なアシッド・トラックになっていく。

rural2018_Festival Trip

rural2018_Festival Trip

昨日はカメラを忘れてしまったが、今日こそはしっかりとテントから持ってきた。しかし、昨日のようなグラデーションの夕焼けにはならない。それが自然というものなのか……。

昨日に比べて空気もスッキリしていて、グラデーションにはならず、綺麗に太陽が沈んでいった。湿度や温度、雲の感じで夕焼けが変わるというのは本当に不思議だと思った。

rural2018_Festival Trip

rural2018_Festival Trip

22:00

この日の夜もMIRROR BOWLERを見にいってみたが、昨夜の滲んだ光線のような光とはまったく違い、まるでダイヤやルビーのような濁りのないキラキラした輝きのある光に見える。夕日と同様、まわりの温度や湿度、霧の量などでここまで見え方が変わるなんて本当に不思議だ。

rural2018_Festival Trip

rural2018_Festival Trip

その頃、OPEN AIR STAGEではSvrecaがプレイしていた。

『彼のプレイを何度見ただろうか。正直に言えば、良いとき、イマイチなときがあった。しかし、このrural10周年。記念すべき日に彼はまた伝説をつくり上げたのだ。

序盤から少しずつ打ちはじめ、期待を裏切らないインダストリアルでモダンな独特の空間に身を任せる。残り時間が迫ってくるにつれてBPMを上げては下げてを繰り返し、オーディエンスの心を常に掴む。

Svrecaにしかできない破壊的な電子音でフロアを熱狂の渦に巻き込んでいく。強烈な電子音とビートに頭の中が混乱するが、完全に彼の音の虜になっていたのを覚えている。

最後はノンビートの音に包まれ、空を見上げれば満天の星空で、4時間踊りきった体を浄化させるような心地良さを感じた。4時間と言う空間をSvrecaは一瞬の幻に変えてしまったのだ。最高のプレイを目の当たりにしたとき“覚えていない”とう経験をしたことがあるが、まさにこの言葉に尽きる素晴らしい体験をしたのだ。 text by tomoya.k』

 ■7月16日(月) 最終日
10:00

ジュンさんが隣のタープの下でメイクをしている。

「おおお! ちゃんと自分でメイクするんですね。さすがパフォーマーですね」

「うん、今日は最終日だからね。 ちゃんと見習いなさい、A-sk。準備が終わったらフロアに行くからまた後ほどね♪ 」

ジュンさんはいつもパーティーによってテーマを決め、ちゃんと衣装を準備してくるから流石だ。昨年(2017年)のオレゴン皆既日食フェスティバルのときも、人種すらもわからないほどの容姿で『北斗の拳』の敵のボスキャラに見えた。 米国人たちが何人もジュンさんに戦いを挑んでいったが、華麗なダンスで彼らをなぎ倒していったのは今でも脳裏に残っている。今年の5月にあったGreen Magicでの最終日も新しい衣装で登場してきた。

 rural2018_Festival Trip

やはりオーディエンスからパーティーを盛り上げていく気持ちが大切なんだなと思う。パーティーはこうでなくっちゃ♪

フロアに着いたときにはWata Igarashiがプレイしていた。躍動感のあるサイケデリックなテクノ音はかなり攻めていて、ガシガシ踊れる!

14:00

最終日ということもあり、フロアは昼過ぎから前日以上に盛り上がっている。そしてクロージングセットは サンフランシスコのシーンを長年支えてきたSolar & Mozhgan。

海辺のパーティーの空気を感じさせるようなSolarの爽やかで開放的なグルーヴと、Mozhganのミステリアスでコズミックでトランシーな音色のB2Bは鳥肌級で、最後の最後までアガリ続けてしまった。

Solar & Mozhgan_rural2018

 

この素晴らしいロケーションで、新たな音楽体験を身体で感じながらのダンスは本当に気持ちよかった。参加したみんなが本当に良い笑顔で良い雰囲気をつくり出していた。毎日がワクワクと感動の素晴らしい3日間だった。

今回、僕はセカンドフロアであるINDOOR STAGEにはあまり行けなかったのだが、どの時間帯もかかっていた音はかなりカッコよかったらしく、ほとんどそっちにいたという友達もいたほどだ。 次回はもうちょっとINDOOR STAGEの方も体感しようと思った。

オーディエンス数1500人超という規模でありながら、キャンプサイトも広いので広々とキャンプができ、シャワーやお風呂も完備しているなど環境も最高だった。2017年に行った友達が“必ず2018年も行く”と言っていたのを思い出した。

そういう事か!!! 僕もまた、来年必ず参加したいと思った。

rural2018_Festival Trip

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