[レポート] Shimokita 解放区 Project vol.2

Shimokita解放区プロジェクト
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日時:2017年7月8日、9日 12:00~18:00
会場:シモキタ解放区(下北沢、東京)

■SHIMOKITA解放区 PROJECT■

終戦直後にはじまったマーケット(下北沢駅前食品市場)
下北沢らしさのひとつであったマーケット=市場が今年クローズします

古来、虹のふもとには、市を立てるといういわれがありました
そして、市場は、人が暮らしを営むなかで、人と物の交流、交易の場として、世界各地で生まれてきました

市場だった跡地の一部を「SHIMOKITA解放区 PROJECT」として、なくなるまでの間にさまざまに試みをする場にできればと思います

交流やアートなどの実験やDIYを通して、
変化する下北沢の街で、
これからの願いが現れ、続いてゆく場に

市場の記憶と可能性が出会う解放区

なにが起こるか、どうぞお楽しみに

(出典、トビラの写真とも:facebook公式ページ)

小田急線の複々線地下化とそれにともなう下北沢駅周辺地の再開発により、下北沢の駅周辺は至るところが単管や柵で囲われている。

SHIMOKITA解放区PROJECTのHPによれば、今後、駅周辺で閉鎖されていく道路予定地はさらに加速度的に増えていくらしい。下北沢の街を分断する補助54号線の下北沢1期工事は既に7年も延長されているということだが、仮に今の予定通りに進捗したとしてもあと4年ほどもかかるようだ。

これら一時的にデッドスペースとなった都市の隙間を解放し、街のエネルギーを気持ちよく流動させる試みがSIMOKITA解放区プロジェクトだ。

シモキタ解放区

友人のJIROKENが展開する移動図書館 PARADISE BOOKSも参加しているということなので、日曜日の午後、自転車を漕いで行ってみた。日中はとても暑かったため、ついつい出発するのが遅くなり、現地に到着したのは17:00過ぎ。すでに撤収が進んでいた。

柵に囲われた空地の角にPARADISE BOOKSのテントが張ってあり、JIROKENが誰かと喋っているのが見えたので近づいていくと……隣りにいたのは先日の『覚醒への糧』の出版記念トークイベントでトークをしていた片山邦雄氏だった。

PARADISEBOOKS

PARADISEBOOKS

解放区になっているのは、シモキタの象徴でもあった駅前食品市場の跡地(一部)だ。もともと駅前食品市場は戦後の闇市を起源とした名残りで、それが独自に変化していったものだった。小さな商店や飲み屋が密集して文字通り軒を連ねる様は、まるでイスラム圏のスークのようでもあり、言わば都市の迷宮だった。

以下、出典先とともに掲載した5枚の写真はWEB上から拝借したもので、いづれも解体前の駅前食品市場の様子を写したものだ。

下北沢駅前食品市場

PHOTO:ありゃりゃゴルフ.esp

下北沢駅前食品市場入口

下北沢駅前食品市場洋服屋

PHOTO(上記2点):写真撮っけど、さすけねがい?

下北沢は開発の進む今でもたくさんの人が集まる街だが、シモキタの特徴は人の多さではなく、集まる人の多様さだった。本多劇場、駅前劇場、ザ・スズナリなどの小劇場が点在する演劇の街としても有名だったが、バンドマンや絵描きなども多く、それ以上にただの酔っ払いも多かった。

若者も多いが、負けず劣らず年配者も街を闊歩していた。幅広い年齢層の多種多様な人々を、そのまま受け入れる懐の深い場所だった。それが今、まるで何かを排除するかのように、柵によってそこここが分断されてしまっているのは寂しい限りだ。

解放区に今も残る建物

解体前の駅前食品市場

PHOTO(上記2点):ありゃりゃゴルフ.esp

SIMOKITA解放区プロジェクトは分断され、隔離されてしまった空間に光をあて、滞ったエネルギーの流れを解放する試みだ。普段の生活の中で見過ごされがちな問題に、よくぞフォーカスしてくれたものだと感心する。

今回は到着が遅くなってしまい完全撤収までの短い時間だったが、JIROKENや片山氏とその友人とも話が出来て、それだけでも来た甲斐があった。カフェやレストランや常設の公園とも違う“解放区”には独自のリラックス感があり、夕暮れ時の心地良い時間を共有することが出来た。

SHIMOKITA解放区PROJECT

誰も利用できないように柵やチェーンで囲い込んだデッドスペースは下北沢だけでなく、都市のあちこちに存在する。それら閉ざされた空間はゴミの不法投棄や治安・美観上の問題だけでなく、土地や人のエネルギーの流れそのものを阻害してしまう。一方、田舎へ行けば耕作放棄地や不在地主など、土地の所有にもとづく問題は別の形で表れている。

そもそも土地を所有するとはどういうことなのか? 遊牧民や狩猟採集の民は常に移動を繰り返し、決して土地を“所有”することなどない。その意味でPARADISE BOOKSが“移動”図書館であることも興味深い。

『所有とは何か』との問いに「所有とは盗みである」と答えたのはプルードンだが、所有云々の話は抜きにしたとしても、せめて空いている土地くらいは自由に使わせろよ、と思わずにいられない。

都市の空き地

SHIMOKITA解放区 PROJECTは、この場所が完全にクローズされてしまう秋ごろまでにはまだvol.3、vol.4と続くということなので、次回もまた自らを解放するために訪れたいと思う。

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しもきた0円マーケット by Shimokita解放区Project

 

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