[レポート] ZIPANG 2018(後編)

upperkidz_ZIPANG2018
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日時:2018年6月30日~7月1日
会場:白浜フラワーパーク(白浜、千葉)

(……前編からの続き)

[レポート] ZIPANG 2018(前編)

目の前に広がるZIPANGの光景はまさにパラダイスだ。青空、海、プールとウォータースライダー、プリッとした水着姿の女のコ、終わりなき遊びに夢中の子供たち、笑顔で踊り続ける仲間たち。

しかし……しかしこのパラダイスにも終わりの時間が近づいてくる。楽しい時間はいつもアッという間だ。

ZIPANG 2018

ZIPANG 2018

すべてが終わってしまう前にパラダイスの全景を目に焼き付けとおこうと、子どもたちに混ざってウォータースライダーの階段を上る。上からの眺めも最高だ。しかし本当に残念だが、この楽しい宴ももうすぐ終わってしまう……。

しばらくすると青年が階段を上ってくる。

「いまDJ誰だかわかる?」

「いや、わからないですねー」

「じゃ時間は?」

「えーっと……、8時……50分くらいですね」

「……?」

「えーっと、だから、9時ちょっと前くらいですね」

「9時? 9時って……?? いや今の現在時刻よ?」

「いや、だから9時……ちょっと前」

「え? え??」

青年の左手をとり腕時計を確認させてもらう。すると……、なんと、まだ9時! 朝の9時!! パーティーが終わるのは17:30の予定だから、まだまだこれからじゃん! やったー!!!

考えてみればBanderasもDachamboもマリアちゃんのプレイもこれからじゃないか! 楽しすぎて時間の感覚が完全におかしくなっていたようだ。パーティー到着直後、ゲート前で「ミライカラキマシタ♪」と言っていた不思議なタイムトラベラーのことをチラリと思い出す。とにかく本当によかった! 安心したよ~~~、まだまだこれからじゃんかよ~~~♪

嬉しくて何度もウォータースライダーを滑っていると、気がつけば眼鏡がない。危ないからとはずしてどこかに置いたような、置かないような……。プールの中の可能性もあるが人が多くて見つけられない。誰かが踏んで、怪我でもしたら大変だ。プールサイドにいたスタッフと子供たちに声を掛けておく。懲りずにウォータースライダーをリピートしていると、ほんの数分後、子供たちが見つけてくれた眼鏡が自分の元に戻ってきた♪

ZIPANG 2018

プールサイドでイビサ島のようにCOOLにキメたサングラス姿のかつプロを発見。近づいて話してみると、どうやらイタリア帰りで、この会場まで成田空港から直行して来たらしい。肌もイヤラしい感じに日焼けしている。

「ヨーロッパ帰りってことは、いろいろとお土産あるんでしょ♡ いや~、ちょうどいろいろ足りなくなってきたところだから、まさにグッドタイミング!」

「い……、いや、ちょっと仕事で行ってたんで、お土産とかは……、そうだ! Happy Shake 知ってます!?  冷たくて超美味いから一緒に飲みましょうよ! 俺ご馳走しますよ」

確かに今このタイミングでベストな飲み物と言えばHappy Shakeだ。かつプロを先頭にToppyと俺、そしてRe:birth 2017で山の上まで一緒に上ったKOZUKOZUの4人でHappy Shakeへと移動する。

「スペシャル4つ!」

ポケットから札を取り出し、慣れた感じで注文するかつプロ。サングラスの淵を指で押さえながら「超美味いんですよ、コレ」とドヤ顔だが……、みんな知ってるよ!

出来あがったHappy Shakeをかつプロから受け取り、ゴクゴクと喉に流し込む。火照った体によく冷えたShakeが最高だ。

「あふぅ~、かつプロありがと! じゃあShakeも飲んで落ち着いたことだし、そろそろイタリア土産いこうぜ♪」

「だから土産はないですってーーーッ!!」

ZIPANG 2018

Happy Shakeでエナジー補給が済んだあとはサウナに挑戦だ。

モンゴルのゲルを縦長にほっそりしたようなテントで、天井から煙突が突き出ている。ちょうどジロケンから紹介したもらった気流舎のホリム・ベイがいたので一緒に入ることにする。

ZIPANG 2018_saunacamp

ZIPANG 2018_saunacampphotos by JIROKEN

中に入ると中央奥に薪ストーブ、その上に石が並んでいる。用意された柄杓から水をかけるとバチバチバチッ……と音を立てながら一気に水が蒸発する。葉っぱがたくさんついた聖なる枝?で上方に蒸し上がった熱気をかき混ぜると、熱~~い空気がテント内で渦を巻き、肌を撫でる。普通のサウナのように時間をかけてゆっくりゆっくり…というより、短時間で一気に高温にする感じだ。そして先ほどの枝で体を擦るようにして掃いていく。皮膚の表面で滞った気やオーラを掃き流すイメージだ。

水風呂&サウナを繰り返し、さらに海にも入る。だいぶ前に1年だけ暮らしていた茅ヶ崎の海に比べると、信じられないくらい透き通った海だ。

Beach_ZIPANG 2018

波打ち際に寝転がり、顔の表面だけを水面から出して、ただの死体のように寄せる波に揺れている。水中に浸かった耳からは、海の中の音がいろいろと聴こえてくる。

1〜2分ほど何も考えず、ただ瞼の向こう側を照らす太陽の光を感じながら揺られていると、自分は本当に死体になったような気持ちになる。まわりの海水たちや、その中に住む微生物たちも、自分のことをただの肉の塊りとしてほっといてくれているような気分になる。すると、さっきまでいろいろと聴こえていた音が消え、ただ静かに、水からの囁き声だけが耳に届くようになる。ああ、凄いなぁ、水はいつもこんな風に囁いてるのか……、と思うだけで、やはり何も考えず、聞こうともせず、ただ死体となって揺れている。初めて体験する至福の時間だ。

しかし……、しかし長いこと死体をやり続けるにはちょっとだけ海水が冷たい。冷たいな、と思うと、それまで空白だった脳味噌の隙間から思考が入り込んでくる。すると、待てよ、俺はただ気持ちよく死体になって波打ち際で浮かんでるだけだが、恐らくビーチ側から見たら本物の死体か、もしくはただの変態か……。

どちらにしても当たらずとも遠からずなわけだが、しかし通報でもされたら気まずい。ま、通報までいかなくとも、ただこうして死体をやり続けているだけでトロピカルなリゾート気分を害していることは確かだろう……、と少しづつ疑心暗鬼になってくる。先ほどまでほとんどそれと同化していた水の囁き声も聴こえない。ヨシッ、一応ここはパブリックなスペースということで、死体は自粛だ。名残り惜しいが、海から上がり、もう1度サウナに入ってこよう!

プール前のダンスフロアを通り抜け、サウナテントに近づくと、なんと入口では待ち人がいる。全身にトライバルな刺青の入ったカッコいい若者2人組だ。普通の銭湯や温泉なら入浴拒否されることも多いだろうが、ここならそんな心配はいらない。むしろウェ~~~~ルカムだ♪

ZIPANG 2018_saunacampphotos by JIROKEN

しばらく順番を待ち、自分の番がやってくる。中に入ると、俺と同じくらいの年恰好のお兄さんが座っている。ちょっと話してみるとミラーボーラーのRYOだということがわかった。実は我々は2002年のオーストラリアでのアウトバック皆既日食フェスティバルでも会っているのだ! とにかくミラーボーラーの最近の活躍はすざまじく、ここZIPANGでもJUNGLE FLOORを完全に異空間へと飾りあげていた。素晴らしい♪

こうしてサウナで再会したのも何かの縁。景気よく釜戸に薪を2、3本つぎ足し一気にテント内の温度を上げたところで、焼け石に水を注ぎかける。バチバチバチバチッ……!! と威勢のいい音とともに火の粉のように熱い水滴が辺りに飛び散る。アチッ、アチアチッ!と声をあげながら、例の葉っぱがたくさんついた聖なる枝で空気をかき混ぜると……、来ましたよーッ! すべての邪気を焼き払う熱風が我々の肌を焦がしていく!!  気持ちいいッス~~~~!

では、そろそろひとこと言わせてもらってもイイですか?

「ッ、ととのったーーーーーーーーッ!!」

我々はサウナテントの中で雄叫びをあげ、互いの身体を聖なる枝で、耳の裏から、脇の下から、股間の奥のそのまた奥の恥ずかしい部分まで掃き清めあったのだ。This is PSYCHEDERIC!!

ZIPANG 2018photo by A-sk

さ、そしてサウナテントの外に1歩出れば、そこは夏。プールあり、ビーチあり、水着姿の女のコたち、早朝からずーっとウォータースライダーをエンドレスで滑り続けている子供たち……、まさにはじまったばかりのエンドレス・サマーの真っただ中だ。

もうここ何年も、日本の、特に東京のとち狂ったような蒸し暑い夏にやられ、それまで夏が大好きだったこの俺も日本の夏はちょっと……、といい加減思いはじめていた。しかし、いま気がついた。俺は夏が嫌いになったんじゃない。ジッとしているだけでも汗だくになるような暑さの中で、労働するのが嫌いなんだ! 俺はここにハッキリと宣言する、俺は労働が嫌いだ! 働くのなんて大ッ嫌いなんだーーーーーーッ!

さあ、とにかくフェスティバルでのサウナは超おススメだ。出来ることならすべてのフェスティバル会場に標準装備して欲しい。

ZIPANG 2018 Time Table

タイムテーブルによれば、一応10時30分からはアフターパーティーとなっている。つまりこの時間からパーティーにやってくる参加者もいるということだ。もちろん初日から今までの楽しい時間を共有できないのは残念だが、人それぞれ予定も違う。アフターパーティーからの参加もあり、アリ、全然A・R・Iだ。パラダイスはすでに完成している。あとは来て、楽しむだけだ。

アフターパーティーでZIPANG FLOOR(SUNSHINE OF ZIPANG)のオープニングを派手にぶちかましてくれるのは、新時代サルサ・バンドBanderasだ。自分は初見だが、とにかくクラウドを含めて勢いが凄い。おいそれと近づくこともできず、下の動画もメンバーはほとんど映っていないが、フロアの熱量は感じられるはずだ。

Banderasが終わるやいなやJUNGLE FLOOR(BURNING OF ZIPANG)に移動。マリアちゃんの晴れ舞台を見逃すわけにはいかない!

再びZIPANG FLOORに戻ると、今度は日本代表サイケデリック・ジャムバンドDachamboの時間だ。去年(2017年)はオレゴン皆既日食フェスティバル + バーニングマンという2つのBIGなイベントを経験し、より貫禄も備わり懐も深くなった感じだ。ちなみに下の動画のサムネイル写真はこちらで設定したものではなくyoutubeのアルゴリズムが自動的に選んだものだが、ジョージ高田の大笑顔を選ぶあたり誠にあっぱれなセンスだ♪

このようなグッド・パーティーでは普段会えないような仲間と会うことができたりもする。前編で書いた『なお宿』のナオヤもそのひとりだし、カンボジアやパンガン島で一緒だったKen2や、ザンビアで共に踊ったシンタロ君もいる。

South Africa 2000やSamothraki Dance Festivalなんかも一緒だったユーマは、ポニョとした裸の上半身にメッセンジャーバッグをたすき掛けして汗まみれのままプールサイドに立っているが、以前とはキャラが変わり過ぎて、もう別の生物というか、『妖怪ウォッチ』のドンヨリーヌみたいな不思議な物体になっている。Sunflowers of TodayのSlumも酒を片手に「こんないいパーティーなんだからさぁ、せめて2泊3日はやってもらいたいよねー!」とご満悦の様子だ。

Ken2 at ZIPANG 2018

Gravityfree at ZIPANG 2018

ZIPANG 2018

もし「国内ベスト・フェスティバルは何か?」と聞かれれば、そんなこと決めるのは不可能だし、そもそも1つに決めることに意味がない、と答えるだろう。しかし、もし複数選んでいいという話であれば、このZIPANG 2018をベストのひとつに加えることにきっと何の躊躇もないだろう。それほど楽しく、パラダイスなパーティーだった。

ZIPANGは他とは違ったユニークなパーティーだ。テクノとハウスを中心に、個性豊かなバンド陣が飛び道具的に登場して会場を盛り上げ、デコレーション、ライティング、ライヴ・ペインティングなどのアートも見応えがある。

これだけバラエティ豊かだと、本来ならまとまりなくゴチャゴチャとした印象になってしまうところだが(ジロケンが冒頭の動画で引き合いにだした”渚音楽祭”がまさにそうだった)、ZIPANGは全体として統一感のようなものが保たれている。旧来のパーティーと地続きにありながら、まったく新しいアングルから自分たちの世界を切り開いている。オーガナイザーやスタッフも陽気で気さくで親切な奴らばかりだ。もちろんロケーションを含めた会場自体が素晴らしいことは言うまでもない。

ZIPANGはベトナムでもパーティーを開催してるらしいから、機会があれば是非そちらも体験してみたい。アジアの他の地域でもZIPANG旋風をじゃんじゃん吹き荒らしてもらいたい。

ZIPANG 2018photo by YUMA

いつものことだが、今回もオーガナイザーとスタッフには感謝とリスペクトの気持ちでいっぱいだ。そしてあの場所でパラダイスを共に満喫したアーティストとオーディエンスの仲間たちにもありがとうと伝えたい。子供たちなんて最高だ。

最後に感謝の気持ちを込めて編集した映像を置いておくので、是非観てみて欲しい。そしてまた、ZIPANG 2019で再会しようぜ。

¡Adios Amigos y Amigas!
Life is a Trip, a Festival Trip.

 

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