[レポート] Forest Jam Grande 2018 ~the Last~

Forest Jam Grande 2018
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日時:2018年11月10~11日(土~日)
会場:中滝アートヴィレッジ(いすみ市、千葉)

Forest Jamは千葉県の中滝アートヴィレッジ内にあるアジアン食堂『チャナリーフ(下記Map・2)』のオーナーである迎忠男さんが主催するイベントだ。2008年12月にはじまり、今年で10周年を迎える。基本的に毎月開催されるアットホームな野外パーティーだ。Forest Jam Grandeは名前の通りその拡大版で、年に1度晩秋のこの時期に開催され、毎回22組のバンドが出演する。

会場となる中滝アートヴィレッジは、約2万坪の敷地内に洒落たコテージやグランピング施設、レストラン、Barなどが点在するユニークなコミュニティ・エリアだ。さまざまな種類の木々が生い茂り、山あり谷ありの起伏に富んだ土地で、Forest Jamの他にも年間を通じていろいろなイベントやワークショップが開催されている。東京駅から最寄り駅までは電車で2時間弱。太東ビーチまでは車なら15分ほどでアクセスでき、山も海も楽しめる気持ちのいい場所だ。

Forest Jam Grande Map

Festival Tripの仲間であるキャプテン(captain)は2014~16年の2年間、この中滝アートヴィレッジのコテージ(Map・11)で家族と暮らしながらヴィレッッジ全体のマネージャーをやっていた。イサポと俺は2016年の夏、『虹の谷』のカフェ(Map・12)で週末の営業を任されていて、キャプテン家族とはそのとき以来の付き合いだ。

自分は昨年(2017年)に続き2度目のForest Jam Grande参加。今回は小学3年になる子どもと一緒に行くことにしたが、土曜日は学校があったため、午後になってからの出発となった。キャプテン家族も夜の到着になるらしく、現地で待ち合わせることにした。

 

1日目(11月10日、土曜)

自宅最寄り駅からだと経堂→新宿→東京→三門(または長者町)となり、乗り換え時間なども含めると2時間半はかかる長旅だ。途中、新宿で撮影用のSDカードをピックアップし、東京駅ではそれから先の道中で食べるおやつや飲み物を買ってるうちに電車に乗り遅れ、三門駅に着いたときにはすでに17時半を過ぎていた。

途中で前日の金曜日から会場入りしているゲート係のコージに電話してみたところによると、三門駅からも会場までのシャトルバスがあるということだ。子どもと2人で三門駅前でシャトルバスを待つ。バスの時刻表はわからないが、まぁ1時間に1本か2本か……、そんなところだろう。電車の到着時刻と連動してくれていればありがたいが……。

とりあえず30分ほど待ったものの、駅に来る車といえば小型の軽自動車ばかりでシャトルバスの来る気配はない。周囲はどんどんどんどん暗くなっていく。道中の電車内で子どもがゲームに使っていたためiPhoneのバッテリー残量は僅か2パーセント。どこかで充電できるコンセントがないか駅内外をくまなくチェックしてみるが見当たらない。1時間ほど待ったところでもう1度コージに連絡する。

「シャトルバス行きますから! あと15分……、いや20分くらい待ってみてくださいよ!」

わかったよ、確実に来るならもう少し待ってるよ。

無人の三門駅 Forest Jam Grande

駅前といっても、都内と違ってなにもない。あるのは隣接する小さな駐輪場と暗闇で光を放つ自動販売機と電話ボックスだけ。あっち向いてホイやなぞなぞや鬼ごっこなどを延々と繰り返しつつなんとか子どもの機嫌をとりながら待つが、一向にシャトルバスはやって来ない。とうとうコージに連絡しても電話にすら応えなくなってしまった。これでiphoneのバッテリーが切れたら万事休すだ。最後の望みをかけてキャプテンに連絡してみる。

「え!? まだ三門駅にいるんですか?? ちょうどいま会場の手前あたりまで来たとこなんですぐ迎えに行きますよ!」

おお! 助かった! 会場手前で親子遭難の危機を乗り越えられそうだぞ!

キャプテンのところには小5と小2の兄弟がいて、うちのコはちょうどその真ん中だから3人とも仲がいい。今年はなかなかタイミングが合わず、今回会うのは久しぶりだ。15分ほどして駅前に現れたキャプテン家族と再会し、なんとか会場まで辿り着くことができた。

会場のゲートではコージの野郎が座っている。

「おい、お前どうなってんだよ?」

「いやいやいや……、すんんません俺、三門駅と長者駅と間違えちゃって…、シャトルバスあるのは長者駅の方らしくて…、うへぇ~ぷ!! いやいやいや、もう俺酔っぱらってブリブリな状態なんで……」

もうコイツと話しててもしょうがない。とにかく今からでも撮れるバンドだけ撮るしかない! すぐにカメラをセッティングし、音の鳴っているJAM STAGEへと駆け上っていく。

Forest Jam Grandeにはステージが3つある。今Muffが演っていたチャナリーフ前のJAM STAGE(Map・J)、テニスコートに組んだ特設のGREEN COURT STAGE(Map・G)、そして少し離れた『虹の谷』にあるYOGA STAGE(Map・Y)だ。

Forest Jam Grande Time Table

JAM STAGEとYOGA STAGEでは今夜のタイムテーブルはすでに終了。初日のトリを務めるF.I.B.JOURNALを聴きにGREEN COURT STAGEへと移動する。

山崎円城率いるF.I.B.JOURNALは今年で結成15周年を迎える。昨年のGrandeではNoise On Trashとしてもプレイしていたが、今回は6人編成+武田カオリというメンバーでのパフォーマンスだ。

本日のタイムテーブルがすべて終了した後も、Grande名物のおでん屋さんを中心に夜遅くまで盛り上がっていた。

 

2日目(11月11日、日曜)

最終日となる2日目も最初のバンドが出演するのは12時からだから、午前中は音が出ない。ゆっくりと山の空気を楽しめるのもこのイベントの特徴だ。

テニスコートの上では『子ども写真教室』というのがはじまるらしい。中滝アートヴィレッジ内をいろいろと探索しながら写ルンですで写真を撮り、最後にはドローンを飛ばすところを見学するという内容のようだ。是非うちやキャプテンの子どもたちにも教えてあげようと探してみるが、あいにくどこにも見当たらない。もっともキャプテン家族は2年間ほどこの中滝アートヴィレッジで暮らしていたわけだし、子どもたちも会場内は知り尽くしているはずだ。子どもたちだけで楽しめるなら、もちろんそれはそれで問題ない。

天気は爽やかに晴れていて、朝からビールが美味い。ゲートに行ってみるとコージとその友人のシュウが野良猫の如く日向ぼっこをしている。

今年のGrandeは、3月にオープンしたキャンプ場『Campus Field Nakadaki』がキャンプサイトになっている。もちろん徒歩でも数分の距離だが、受付のナオちゃんがスクーターを貸してくれるというので、久々にスクーターに乗って行ってみる。

再び受付に戻ってみると、ちょうどコージの双子の兄貴ケンジが到着したところだった。このケンジとコージの双子兄弟はWエロジという別名で知られていて、つまりエロな変態だ。もともと2005年のバーニングマン(米国)で知り合ったのだが、その後もオーストラリアのRainbow Serpentやトルコの皆既日食フェスティバルSoulclipseなど、あちこちのフェスティバルで再会している。コージの方は去年のGrandeでも会っているが、ケンジと会うのはかなり久しぶりだ。

午前中の自由時間をたっぷりと楽しみ、12時からいよいよ2日目のタイムテーブルがはじまる。まずはゲートまで音が聴こえてくるJAM STAGEのsignalsへ。

最後の10分だけでもYOGA STAGEの松本佳奈を聴こうと、ダッシュで移動してみるが……、あれ? 音鳴ってないぞ?? 近くにいたスタッフに確認すると、

「いやぁ、ちょっと早めに終わちゃったみたいですね……」

ガーン! マジか? 少し長引くならまだしも、少し早めに終わっちゃうの? なら最後までsignals聴きたかった……。

ま、仕方がない。次はキャンプサイトでもお勧めされたGREEN COURT STAGEのL.E.D.だ。リーダーの佐藤元彦は平井直樹とのユニットomni sightで前日の10日にも出演している。

続いて14時からはJAM STAGEでThe Kota Oe Bandが、YOGA STAGEで無人島レコードがそれぞれ出演する。むぅ~~~、どっちも好きなバンドだからなぁ~、このタイムテーブル、ファン泣かせだなぁ……。

いやぁ、まったく違うテイストのバンドだけど、本当にどっちも好きだな~。去年のGrandeでも撮影したので、1年間の違いというか、成長というか、そういうものも感じられて、なんだか勝手に身内のような気分に浸ってしまった。

GREEN COURT STAGEでは山本精一、EXPE、西滝太によるTrio from PARA。

16時からはYOGA STAGEでExotico De Lago。

同じ時間にJAM STAGEではMAJESTIC CIRCUSが演っている。MAJESTICのライブを聴くのはかなり久しぶりだ。2010年のTONE RIVER JAMや新宿のライブハウスでのダモ鈴木(CAN)とのセッションは撮影もしたのでよく覚えている。

富山のONE EARTHというフェスティバルでは伊藤清泉氏がライブペイントで出演していたが、MAJESTICの演奏中に清泉さんが絵筆を持ったままノリノリで踊り出し、塗料を画布に叩きつけるようにして描く姿が超カッコよかった。まさに音楽と絵がライブ・セッションしているのを目の当たりにした感じだった。

今回のライブには途中から『裸族』の越野竜太がゲストで参加。時間も大幅に延長した演奏で、オーディエンスとしても大満足だった。

Forest Jam Grande 2018の最後を飾るのはGREEN COURT STAGEの☆.A/NAOITOだ。まさに最後に相応しい大円団といった感じで、主催である迎さんが、この場に集まったみんなから愛され、リスペクトされているのが伝わるステージだった。

Forest Jam Grandeは出演者、出店者、ボランティア、スタッフ、オーディエンス……、それぞれの垣根がなく、参加者みんなが楽しい時間を分かち合える素晴らしいイベントだ。主催者である迎さんの、音楽に対する愛情やおもてなしの気持ちが至るところで感じられた。ガツガツしたところがなく、大人も子どももゆっくりと楽しめるオーガニックな雰囲気で満たされている。

すべてのタイムテーブルが終了し、マーケットエリアで帰りのシャトルバスを待っている間に無人島レコードのメンバーが通りかかった。思わず声を掛け、

「無人島レコードの演奏良かったですよ、去年も良かったですけど、今年はもっと良かったですよ♪」

と感想を伝えると、一瞬驚いた顔をし、

「本当に!? 本当に良かった!? いやぁ、他の出演バンドたちがみんな凄い人たちばかりだから、俺たちダメだなぁってメンバーで話しながら肩を落として歩いてたとこなんだよ、いやぁ、良かった!」

と、メンバー同士胸を撫で下ろすように笑顔で頷きあっていた。心底ホッとした、といった感じの様子がいかにも無人島レコードらしく、思わず笑い出してしまいそうなほどだった。

ほったらかしだった子どもはキャプテン家族と一緒に1日を満喫したようだ。いつもスマホでゲームばかりしているから、こういう自然な環境で楽しく遊びまわれる機会があるのは本当にありがたい。お世話になった人たちにお礼と別れを告げ、リュウヘイが運転するシャトルバスに乗って長い家路へと向かう。

今回でForest Jam Grandeの開催が最後になるというのはとても残念だ。しかし毎月開催のForest Jamの方は12月で10周年を迎え、その後も続いていくということだから、寂しがる必要もない。夏にはSurf Jam Festival(こちらも迎さんの主催だ)もあるし、晩秋のGrandeもいつか形や名前を変えて復活してくれることだろう。

迎さん、本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
Forest Jam 10周年おめでとうございます!
そして次なるフェスティバルも期待しています!

 

 

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