日時:9月16~18日
会場:オートキャンプ銀河(西伊豆、静岡)
TOP PHOTO by Cinematic Films
文中に登場するキャプテン、イサP、かつプロについてはabout usのページをご覧ください♪
9月16日(土)天気:雨時々曇り
台風が直撃するという噂だ。実際会場への道中、伊豆半島天城越えの峠で濃霧に包まれ道をロストしかけた。5メートル先も見えないほどの濃い霧だ。途中で道を変更し、なんとか海沿いの国道まで辿り着く。時間はすでに夜の8時に近づいている。辛うじて開いていたうどん屋で晩飯を済ませ、入口近くに置いてあった新聞の天気欄を覗いてみると本日夜から明日(17日)の夜にかけて大雨の予報だ。降水確率は100%。
うどん屋の外に出てみると雨はほとんど止んでいて、風もどちらかというと心地良く吹いている程度だ。ここまでずっと運転を続けてきたキャプテンの話によると、実は台風直撃というのはそもそもガセネタらしい。すでに台風は霧消し、ただの低気圧になっているということだ(※後日聞いた話では、他の場所では結構な風雨で直撃されたようなので、実際にはただ台風のコースが逸れただけだったが)。
ありもしない台風を、ことさら危険であるように煽り立てるのは、それだけニュースに注目させたいからだ。台風情報を見ようとテレビをつければ、前日に発射された北朝鮮のミサイルに関するニュースやコメントが溢れ出す。台風騒ぎで心が浮き足立っているところに、北朝鮮が危ねえ、だから日本も武装してやっちまえ!とけしかける。どうしても戦争をおっぱじめたいらしい。
夜9時過ぎに会場へ到着。沼津で高速を降りそびれて富士まで行ってしまったり、忘れてきた三脚を買うために途中でHARD-OFFに寄ったりしたのもあって、東京から会場のオートキャンプ銀河まで9時間もかかってしまった。
小雨が降り出した中、早速テントを張る。隣人は2人組の女のコだ。テントの上からフライ代わりにシルバーのブルーシートをかけているが、そもそもテントが壊れかけらしく、少し強風が吹くとポールがはずれてテントが半壊してしまうようだ。ガセネタかどうかは置いといたとして、一応台風直撃の予報が出ているというのにこのような装備で2泊3日のパーティーに臨むとは、なかなかハードコアな女のコたちだ。
テントを張り終えるころには小雨も止み、とりあえず長旅の疲れを癒すため、買ってきたビールで乾杯する。オートハウス銀河は山を開いたキャンプ場で、キャンプサイトは背の高い木々に包まれている。雨が降ったり止んだりということもあって、空気がしっとりと心地良い。まわりの植物と自分たちとの呼吸がシンクロしている感覚だ。
キャンプだキャンプだと楽しみにしていた子供たちは長時間の移動で疲れたのか、テント内で遊んでいるうちにすぐに眠ってしまったようだ。早くも大人の時間が到来だ。
濡れた斜面を上ってダンスフロアに行ってみる。お? おおっ!! こ、これは……。
まるで1年に1度、ジャングルの奥地で3日間だけ咲き誇る巨大な妖花のようなデコレーションがダンスフロア中央で光を放っている。そして風が吹くたびに膨らんだり、伸び上がったり、さながら命を吹き込まれた生物のように姿を変える。
SUNSHINE DECORATION ARTIST
*Artescape (ZA)
Carin Dickson(ZA) カリン・ディクソンはArtescapeを2000年に起業し、南アフリカを拠点に世界中の有名なパーティー/フェスのデコを担当している。8mX3mのブラックライトに反応するUVバティック・ペインティングから始まり、今ではストレッチ素材とライトを使いながら彫刻を3Dでダンスフロアに作り上げる空間アーティストとして、世界中のオーガナイザーから依頼が殺到している。
そしてだれもが知る世界のビッグ・フェス(ドイツのVuuv、ハンガリーのOzora、ポルトガルのBoom、イギリスのGlade、モンテネグロのSonica、そしてタイのBlackmoon & The Experience、earthdance、Rezonance,、Fu-cha、 Alien Safari and Groovy Troopers)なども彼女が手掛けている。
LEDとデコを連動させたアートは、「いきもの」となり、彼女がこの世界のパイオニアと言ってもいいのではないか。彼女のアートは、作品を鑑賞するためだけではなく、自らが作品の中に入り込む独特な世界観を作り上げる。
地元南アフリカのパーティーは全て(Vortex, Origin Frestival, Ea)カリンが担当している。メキシコ/ネパール/韓国/レバノン/バーレンなど世界各国から受注依頼があり、日本で彼女のデコを堪能できるのはSUNSHINE FESTIVALだけなのである。
ここ10年でArtescapeは、素晴らしい設営チームを育て、そのオールスター・チームごと日本に来日する。「サイケデリック」を語る前に、まずこのカリンの世界を体験するべきである。
(出展:facebookイベントページ)
自分はSunshine Festivalに参加するのは今回が初めてだ。事前に何人かから話を聞いたが、すこぶる評判がいい。中でもデコレーションがいい!という意見が多かったが……、確かにこりゃ凄いよー!!
ステージを振り返ればこれまた凄い! DJブースを取り囲む巨大なSunshine Flowerが音楽とシンクロしながら眩く輝いている。VJというのか、プロジェクションマッピングというのか……、とにかくすっげー、こんなん見たことねー! こちらはafterlifeというVJチームで、今回が初来日だということだから、まさに貴重な機会だ。
デコレーションもVJも南アフリカを拠点に世界中で活躍しているチームらしく、お互いのコンビネーションも抜群。日本にいながらにしてこんなに凄い空間を体験できるなんて……、Sunshine Festival、さ・す・が! 目のつけどころが素晴らしい♪
そしてこのときにプロジェクションマッピングを撮影していたのが以下の動画だ。後日家に帰ってから確認してわかったことだが、このときステージでDJしていたのはYUYAだということだ。実はYUYAとはこの時点で面識もなく、不勉強な自分は名前も知らなかったのだが、後にバックステージで会ってみるとなかなか礼儀をわきまえた好青年だ、少なくとも表面的には♪
90秒に満たない短い動画だが、本人に確認したところ、ちょうどYUYA自身が制作した2曲をミックスしているタイミングだということだ。音から勢いが感じられるので、是非サウンドにも傾聴してもらいたい。
幻想的な光の世界に浮遊していると、すぐ隣りに見覚えのある男を発見。ageHaのプールサイドフロアで、Daijiroのセットのときにシャボン玉を飛ばしていたシャボン玉アーティストのOnchiだ。
「おー! シャボン玉は? いつやるの?」
「いや~、やりたいんですけど……怒られないかなぁ?」
「怒られる? 誰に?」
「いや、オーガナイザーとかに……、何も許可とってないし……」
「ハ? 怒られるわけないだろ。むしろありがたいだろ、みんな喜ぶし♪」
Onchiの話では夜の時間帯もシャボン玉の表面にVJの光が映り込んでいい感じになるらしい。少々風が強いからいい位置に飛ぶかが微妙だということだが……。
photo by Cinematic Films
と、そうこうしているうちにまた雨が降り出した。キャプテンたちとはだいぶ前にはぐれたっきりだし、雨もすぐには止みそうもないのでテントに戻って眠ることにする。とにかくパーティーはまだはじまったばかりだし、明日も明後日もあるから安心だ。Onchi、そいじゃまたね♪
Psychedelic Dream Temple(サイケデリック・ドリーム・テンプル)
サイケデリック・ドリーム・テンプル(サイケデリック夢寺)とは、アートをもっと身近に感じることができるようにと南アフリカ出身のSkywalker (Jonathan West氏)が始めた想像力を養う移動ギャラリー/教室/寺である。photo by Miki Tomura
9月17日(日)天気:晴時々曇り、夜に雨
朝6時過ぎにテントから外に出る。本日の天気予報は朝から夜まで一日中雨だったはずだが、木々の隙間から覗く空は爽やかな青空。ザマーミロ、初っ端から天気予報は大ハズレだぜ。
昨夜フロアでかつプロとその連れのマリアちゃんからSUN69が良いと聞いたので、早速フロアへ。青空を背景にしたデコレーションもまた美しく気持ち良い。かつプロとマリアちゃんも既に大汗かきながら踊って……ない! 踊ってないどころか、姿さえ見当たらない! 結局この2人、SUN69が終わるまでフロアに現れなかった……。
しかしとにかく天気は晴れ。虫たちも喜んでます♪
Disc JunkeyのTAROと再会する。何年振りかわからないが、相変わらず調子良さそうだ。UNIVERSO PARALELLOやOZORAなど海外のフェスティバルにも積極的に進出するかたわら、地元の仲間たちへの四ツ打ち普及にも努めているらしい。
「地元どこなの?」
「浅草の辺りですね」
「なんか悪そうだなぁ……」
「ハハ…、仲間スか? 悪い奴ばっかですよ♪」
photo by Cinematic Films
Disc Junkeyのプレイは本日の11:00から。超楽しみだ。
と、フロアに仲間のイサPを発見! 仕事の都合で一緒には来られなかったが、昨夜のうちに無事到着したらしい。子供たちの様子も気になるし、一緒にテントを張りにキャンプサイトに戻る。
子供たちは何の心配もなく遊んでいた。キャプテン夫婦ですでに朝飯も食べさせてくれたらしい。家ではゲームばっかりやっているが、こうして友達と一緒に野外で遊ぶのがやっぱり楽しそうだ♪ キッズエリアでは宝探しや流しソーメンなどのイベントもあるようだし、最近は子供たち含めて家族で楽しめるパーティーが増えていて非常にありがたい。
photo by Cinematic Films
イサPのタープを張り終え、テーブルや椅子も追加されてテント周辺が基地らしくなった。ポートランドで買って帰った豆をガリガリと挽いてコーヒーを淹れる。ゆっくりと一服だ。
オレゴンの撮影時にキャプテンから借りていたGOPROを返そうとカメラバックから取り出すと、子供たちが寄ってくる。電源を入れてiphoneとwifiでつなぎ、iphoneで録画画面をモニターできるようにしてGOPROとともに子供たちに手渡す。道中のHARD-OFFで買ったしょぼい三脚もある。子供たち3人は即席の撮影チーム(K.R.A)を結成して撮影に出掛けて行った。頼むからGOPROもiphoneも失くさないでくれよ……。
20分ほどすると子供たちは満足げな表情で戻ってきた。後日映像を確認すると、途中3人でおやつを頬張ったり、三脚を倒してレンズの汚れを気にしたり、ダンスフロアを横切るかと思いきやUターンして帰って来たりとなかなか面白い。特にいいのは最後にスタッフ3人揃って記念撮影みたいなことをしているところだ。初めてだというのに三脚をよく活かしている。
ただ、道中のカメラ揺れが半端ないのでじっと見ていると超頭が痛くなる。自分はこの12分ほどの映像を見終わった後、1時間ぐらいずっと頭痛が抜けなかった。実はGOPRO用のジンバルも持っていっていたのだが、何故かバッテリーが入っていなかったので使用出来ず。映像を観る人は頭痛に注意し、カメラの揺れの酷い箇所はシークバーや10秒早送りなどの機能でサクッと飛ばしてしまった方がいいだろう。途中でもいろいろ映っていて面白いのだが……。
あ~、それにしてもいい天気だなぁ……。時計を見ると既に正午過ぎ。今日は朝からおやつをつまんでるし、さっきTAROからも飴玉貰ったのでまったく腹は減ってないが……、あっっっ! ヤベッッッ! Disc Junkey!
すぐに撮影準備を整えフロアへと急ぐ。マジで終わっちゃう……。
なんとか最後の最後に間に合ってギリギリ撮ったのが以下の映像だ。アーカイブ集にも載せてあるが、この流れで観てもらいたいのでこちらにも置いておく。 Disc Junkeyの勢いが感じられるはずだ。ALEXも相変わらず人懐っこい笑顔を振りまいている。決してオラオラにはならず、しかしいいバランスでやんちゃな部分が残っているのが彼らのいいところだ。これからもJunkeyな路線で突っ走ってもらいたい。要注目、楽しみな2人組だ♪
その後のGrooveboxもYestermorrowもHashiも、とてもいい流れだった。しかし少々疲れたので、いったんテントに戻ることにする。で、そのまま眠ってしまったzzz。
目が覚めると外はもう暗い。子供たちはキャプテンたちと一緒に晩飯を済ませたようだ。
「何か食べます?」
「ん~~~……、いいや。それよかワインあったね。ワイン飲もうかな」
ペーパーボックスのワインから注ぎ口をつまみ出し、コップに注いで乾杯する。これだけデカいサイズなら、安心してゴクゴク飲める。ていうか、無理して飲まないとパーティーが終わるまでに完飲出来そうもない。
「あれ? イサPは?」
「ちょっと車に戻るって、さっき下に降りていきましたよ」
「そうなんだ?」
「まぁ、ボチボチ戻ってくるんじゃないですか」
ならばとりあえず、イサPが戻ってくるまでここでダベッてればいいか。そう思ってキャプテンと話していたのだが、なかなかイサPは現れない。結局戻って来たのは夜9時過ぎだった。
「いや~、ファイヤーショー凄かったなぁ。あれ? ずっとここにいたんですか? 撮影はいいの? 撮影は?」
待ってたんだよ、お前が戻ってくるのを!
「そんな困るな~、勝手に待たれても。自分から攻めていかないとダメでしょ、自分から。あれ? ワイン開けたんだ? 俺もちょっと飲んじゃおっかな~。いや~、それにしてもファイヤー凄かったなぁ♪」
photos by Cinematic Films
さて、問題はこれから今夜どうするかだ。とりあえず3AMからのDJ HATTAのプレイは是非初めから聴きたい。なにせオレゴン皆既日食フェスティバルでも聴き逃している。しかしだからと言って、今からHATTAの時間までネバって、そのままパーティー・エンドの2PMまで突っ走れるかというと、恐らく途中でエンジンが切れそうだ。実際さっき2時間ほど眠ったが、まだ頭が疲れている。
「俺、もうちょっと休もうかな……」
「あ、そうします? もうちょっと寝てからHATTA行きます? じゃ俺、キャプテンと一緒にもうちょっとグルっと回ってからひと眠りしますよ」
「携帯のバッテリー切れそうだからさ、後で行くとき起こしてくんない?」
「いいスよ。何時にします?」
「そうだなー、HAYATOも少し聴いてみたいから、2AMに起こしてくれる?」
「了解。じゃ、ちょっと行ってきますわ」
「うい~、ハヴァ・グッナイ~♪」
キャプテン夫妻とイサPを見送ってテントに入る。先に眠っている子供の隣りで体を横たえるとポツ…、ポツ…、とフライシートに雨粒が当たる音がする。あー、昼間はあれだけ天気良かったのに、また雨降ってきたか……。
後編に続く……。