[レター] a letter from IBIZA, Introduction

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HIDEYO BLACKMOONはイビザ島を拠点に世界で活動する女性アーティストだ。日本のパーティー・シーンでは稀有な存在と言っていいだろう。

HIDEYO BLACKMOON

いつ、どこでHIDEYOさんと知り合ったのかは覚えていないが、出会った直後くらいに東京でちょっとしたパーティーがあった(それはHIDEYOさんのアルバム・リリースパーティーだったかもしれない)。六本木のヴェルファーレ跡地近くだったと思うが、確か普段は結婚式に使われているようなちょっと変わった会場だった。吹き抜けになった絨毯敷きのフロアで、中央には細い手すりのついた緩やかに曲線を描く階段があった。映画のセットのような空間だ。

HIDEYOさんはその階段を1段1段ゆっくりと下りながら歌っていて、途中の踊り場でしゃがんだままフロアに流し目を送ったりと、こちらもまた映画の1シーンのような登場の仕方で、今もその映像が脳裏に残っている。

「ヤバいオネーちゃんがいるなぁ……」というのがその時の印象だ。

 

 

その後は特に接点もないまま時は過ぎ、2009年奄美皆既日食音楽祭の会場で再び出会う。

HIDEYOさんは3つあるステージ(太陽・月・地球)のうち地球ステージのオーガナイズを担当していて、スウェーデン人のKamilla Del Solとともにオープニング・セレモニーにも登場した(というか、このセレモニー自体がHIDEYOさんの演出だ)。ダンスと祈りによって会場をヒーリングした後、HIDEYOさんの呼び掛けでそこにいた参加者全員が手をつないで円=輪になった。自分はこういう“みんな揃って何かをやる”というのがこっ恥ずかしくて苦手だが、持っていたカメラを三脚に立てたままその場に置き、とにかく両隣の人と手をつないで円に加わった。

HIDEYOさんは「あ~~~~~~」と低い声を出し、我々もそれに倣って同じように声を出す。2回、3回……、と同じことを繰り返す。俺は内心「何なんだよ、この茶番は……」と半分白けつつ、残りの半分はHIDEYOさんを信じて言われた通りに声を出した。

「まだまだ、もっと大きな声が出るはずだ」

HIDEYOさんはそう言って首を横に振り、今度は両手を上にあげて「あ~~~~~~~~~」と先ほどより大きな声を出す。円になった我々も、手をつないだままの両手を高く上げ、「あ~~~~~~~~~」と声を出す。すると……、

円そのものが、誕生したばかりのひとつながりの生命のように息づくのが感じられ、つないだ両方の手から円を高速で巡るバイブレーションが体に伝わってきた。その場にいた全員がひとつであることを体感出来た瞬間だった。

そしてKamilla Del Solが「Let’s start the PARTY!」と雄叫びを上げ、皆既日食を巡る5日間のフェスティバルがはじまった。オープニング・セレモニーの様子は下の動画にも収録してある(13:44~19:20あたり)ので、是非見てみてもらいたい。

HIDEYOさんの詳しいプロフィールについては公式サイトに書かれているので、そちらを参照して欲しい。見ればわかると思うが、結構強烈だ。特にHIDEYOさんをよく知らない人であれば、階段で歌うHIDEYOさんを見たときに俺が感じたインパクトをなんとなく理解できるだろう。

彼女はアーティストであると同時にプロデューサーでもあるから、自分自身をプロデュースするために“見せ方・魅せ方”というものを強く意識しているんだと思う。しかし日本人の多くはそういうことに慣れていないため、彼女を初めて見たときにちょっとした違和感を感じるのかもしれない。

HIDEYOさんとは奄美皆既日食音楽祭の後、2017年のオレゴン皆既日食フェスティバルでも再会した。見た目とは裏腹に、素の彼女はとても気さくで、ぶっちゃけトークの好きな面白いオネーちゃんだ。会うたびに「イビザにも遊びにおいでよ~」と誘ってくれるが、多分それはいわゆる社交辞令ではなく、実際に訪ねていけば本当に歓待してくれることだろう。そしてあっちこっち連れまわし、世話を焼いてくれるに違いない。そういう面倒見のいい人なんだ。

イビザ島

いつかイビザにも行ってみたいと思っているが、いつになるかわからない。だから日本にいながらにして、少しでもイビザの空気を感じたいと思い、HIDEYOさんにイビザ・レポートをお願いした。本当は彼女が日本に立ち寄ったときに会ってお願いしようと思っていたが、しばらく帰国の予定はないらしい。Messengerを通してのお願いだったが、HIDEYOさんは快諾してくれた。面倒見のいい人なんだよ、彼女は。

多才で忙しい人だから、どれくらいの頻度で記事を送ってくれるかはわからない。でもそれは、心地良い風がいつ吹くのかわからないのと同じことだ。音楽に耳を傾け、友人たちと話をし、恋人と眠りにつき、ひとりで朝を迎え、そしてふとした瞬間にその風を感じるだろう。

きっとHIDEYOさんはイビザだけでなく、訪れた先々の場所で彼女が見て、経験して、感じたことを文字にして送ってくれるだろう。そしてまた、世界のどこかで出会うだろう。

Life is a Trip, a Festival Trip.

[レター] a Letter from IBIZA, Introduction 2

[レター] a letter from IBIZA, vol.1 (written by HIDEYO BLACKMOON)

[レター] a letter from IBIZA, vol.2(written by HIDEYO BLACKMOON)

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