[レター] a letter from IBIZA, vol.2 (written by HIDEYO BLACKMOON)

a letter from IBIZA #2
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texts and movies : HIDEYO

日時:2019年3月吉日

すっかり春、というより、もう初夏なんじゃないの? っていうイビザより2通目のレターです。

今回は私の住んでいるサンアントニオの話題に触れていきます。前回書いたようにイギリス人の酔っ払いが多く、いろいろな面でその垢抜けなさや古臭ささが渋谷センター街的と言えば想像しやすいかもしれません。が、その前に、島にはなんという街があるか、ざっくりと紹介していきます。

まずは南側の中心であり、島全体の中心地(首都みたいなもの)でもあるイビサタウン。旧市街のダルトビラ(Dalt Vila)は城壁で囲まれ、ちょっと迷路的な街をつたって小高い丘の上まで登ると素敵な教会 Obispado de IBIZA があります。ここからの眺めは素晴らしく、観光客にも大人気のこの教会は島の象徴でもあります。

google map 360度view

教会で行われたクラシック・コンサート

 

城壁の外側はエイシャンプレ(Eixample)と呼ばれる新市街で、こちらにもたくさんの教会があります。

イビサタウン以外のメインの街は、名前に「Sant サン」とか「Santa サンタ」がつくところばかりで、やはりほとんどの街に教会があります(というか教会があるから街なのか?)。

南側の空港に近いサンホセ(Sant Josep)、サンジョルディ(Sant Jordi)、島の真ん中あたりに位置してるサンタヘトゥルーディス(Santa Gertrudis)、その西側サンラファエル(Sant Rafael)、東側サンヨレンソ(Sant Llorenc) 、島の東部のメインの街サンタエウラリア(Santa Eulalia)、そこを北上するとサンカルロス (Sant Carlos)、さらに北上すると最北端サンビッセンテ(Sant Vicent)、そこから内陸に入ってサンホアン (Sant Joan)、北部の真ん中あたりに位置するサンミゲール (Sant Miquel)、そこから西の方面に行くとサンマテオ(Sant Mateo)、さらに西へ行くとサンアグネス(Sant Agnes)、その西の端から南に降りると、西の中心地、イビザで2番目に大きな街(一応、市?)サンアントニオ(Sant Antonio)があります。そこから、さらに南へ下るとサンオーグスティ(Sant Agusti) で、その先はもう最初に出て来たサンホセになります。

イビサ島 地図 出典:On The World Map

狭い島の中に意外とたくさんの街があるわけですが、それだけ教会がたくさんあるということです。住人の皆さんは割ときちんと、毎週欠かさず日曜日に教会の礼拝に行くんですね。キリスト教徒ではないですが、私もときどき教会を覗きます。教会では十字を切って、手を組んで一礼して入っていき、ときどき誰かのために、その人数分のロウソクの火を灯したりして……、ということもします。

ミサが終わったら、持ち寄りでみんなが用意してきたミールで食事会をしたりとか、今日はドイツ人のミサ、とか、今日はイタリア人の、など、時間を変えたり隔週で国籍を変えてミサをやったりもしているようです。

サンアントニオ教会。内部の装飾はオーソドックス

 

サンアントニオの教会付近は街の中でも一番ストリートの雰囲気がよく、2月からは新しくヒッピーマーケットの開催もはじまりました。

なぜ、ここにヒッピーマーケットが催されることになったのか? 5年ほど前からはじまった、島では比較的新しめのサンホアン・ヒッピーマーケットが人気になりすぎて、ツーリストも多くなり、住人にとって毎日曜日が苦痛になってきてしまったのです。やむなく規模を縮小することになり、オーガナイザーが次の場所に選んだのがサンアントニオだったというわけです。サンアントニオだったらどれだけツーリストが集まってもノー問題、夏は半裸な若者たちが大勢闊歩してますから(笑)。

ヒッピーマーケットでは、ローカルの人たちが老いも若きも自作のものを毎週売っていて、それは野菜だったり、化粧品だったり、洋服、アクセサリー、ヘルシーなパンやらお菓子・ドリンク……など多義に渡りますが、その人たちの手によって作られたものが基本的な品揃えです。

島内にいくつかあるヒッピーマーケットの中でも1番雰囲気のいいサンホアン

 

会場にはサウンドシステムがあって、地元のバンドやミュージシャンなどがライブ演奏をし、ランチどきの14時頃には大きなパエリアが出来上がります。友人たちのミーティングポイントでもあり、とても楽しいものです。

大きくなりすぎて商業的になってしまった他のヒッピーマーケットに比べて、このサンホアンのヒッピーマーケットは村が小さく、古き良き時代の感じを醸し出していて雰囲気も良かったので残念ではありますが、変わらないことなど何もなく、これからのサンアントニオのマーケットに期待です。今はまだ少し閑散としていますが、シーズンに向かうにつれてかなり盛り上がって行くんじゃないかなと思います。毎週金曜日の開催です。

はじまったばかりでまだ閑散とした様子のサンアントニオ・ヒッピーマーケット

 

サンアントニオはリーズナブルなホスタルやホテル、レストランが多く、(私はバスを利用したことがないので詳しくはないですが)バスの便もいいみたいです。

夜中ずっと走っている「ディスコバス」は要所要所のクラブを巡るパーティー・バスです。イビザは車がないと不便なので、レンタカー出来ない若者たちなどにとってはサンアントニオは便利なところです。パーティー近辺では検問もあるので、お金があって遊んでいる人たちはドライバーを一晩中雇っています。

海に面した街なので、海沿いは遊歩道になっていて、そこは歩いたり、自転車などで走るととっても快適です。街の様相は「ちょっとねぇ?」ではあっても、湾になった海は波が静かで、透明度も高く、とっても綺麗です。

オフシーズンの遊歩道は人も少なく快適

 

そして、この一角にはあの有名な(世界で一番美しい夕日スポットというキャッチコピーの!?)カフェ・デル・マーがあります。隣りのカフェ・マンボというお店も有名です(前回紹介したラ・トーレはマンボグループの経営です)。個人的には絶対シーズン中には近寄りたくないですが、パーティーが目的で来てるのだったらその場にいるだけでもイビザ!って感じで盛り上がっていて楽しいと思います。

シーズン中のカフェ・デル・マー周辺遊歩道

 

遊歩道の終点にあるゴールデンブッダというカフェはなかなかご機嫌です。私もシーズン中でも行ける感じだし、冬も営業しているローカル・フレンドリーなお店です。食事もドリンクも美味しいし、量も満足できます。港はヨットハーバーになっているので、自家用ヨットがたくさん停泊していてます。イビザっぽい景観ですよね。

冬でも営業中のゴールデンブッダ

 

さっきの遊歩道と逆側の遊歩道をヨットハーバーからちょっと歩くと砂のビーチ沿いになり、平坦に続くのでジョギングやウォーキングなど体を鍛えている人なんかも多く、並行してある道沿いには大きめのホテルなんかも多い気がします。

サンアントニオから少しだけ東側に内陸に入っていったところには、映画『ボヘミアン・ラプソディ』で人気再沸騰のフレディ・マーキュリーのとんでもなく派手な41歳のバースデー・パーティーが繰り広げられたパイクス・ホテル( Ibiza Rocks House At Pikes Hotel)があります。そのパーティーはフリオ・イグレシアス、ボーイ・ジョージ、グレース・ジョーンズ、ナオミ・キャンベルなどを含むセレビリティたち500~700人のゲストで埋め尽くされ、サグラダファミリアの形をしたバースデーケーキ、350本のモエシャンドン……、フィナーレの花火はマヨルカ島からも見られたとの伝説になっています。

ホテルではありますがパーティーもよく催されていて、最近では特にハロウィン・パーティーが人気。チケットが手に入りづらいほどです。創始者のパイクスさんは先頃お亡くなりになりました。経営はイビザロックスというホテルグループに変わってしまったけれど、イビザの歴史を作った重要人物でした。

人気上昇中、パイクス・ホテルのハロウィン・パーティー。

 

サンアントニオと私の住んでいるキャプネグレット(Cap Negret)との間には、教会をリノベーションしたイビゼンコ料理を出す素敵なレストラン、サ・カペラ(Sa Capella)があります。雰囲気が素敵なのでカップルにもおススメです。

さて、サンアントニオ。個人的な話ではありますが、サンセット時のDJで島の西部に来ることが多くなり、そのアクセスの良さ、海の近さ、海に落ちる夕日が決め手になり、住むことに決めたこのエリア。イギリス人の酔っぱらいツーリストばかりがいて、冬はゴーストタウンなのかと思っていたら、普通のおじさんおばさんたちもたくさん住んでいて、お店もちゃんと営業していることがわかりました(閉まっているところも多いですが、それはツーリスト・ゾーンです)。地元のおじさんたちはバーやカフェでなんだかいつも溜まっています。スペイン人は声が大きくて、陽気で、おしゃべり好きなんですよね~♪

オーガニックの野菜や食品が買えるビオショップが一番揃ってるのはイビザタウンとサンタエウラリアなのですが、実はサンアントニオもなかなかなで、若者が闊歩してるところからはちょっと離れてるので気になりませんし、重宝しています。英語も通じるところが多く、生活に必要なものはほぼ揃います。アラブ系のショップやチャイニーズのショップも多く、彼らは日曜日もスペインのホリデーも休まず営業してくれているし、気さくでとっても助かります。

イビザのビオショップは島の日常です

 

イビザでも珍しいプラスチックバック不使用のビオショップ

 

なんとも微妙なサンアントニオでありますが、そんなわけでだんだんと愛着もわいて来ています。ヒッピーマーケットもはじまったし、他の地域のようにファンシーな観光客や新しいハイソな住民に押し寄せられて物価が高くなる心配もなさそうなので、今のそれなり感でそのままのサンアントニオであって欲しいとも思います。

最後に少し報告です。

前回紹介したホスタル『ラ・トーレ』のカフェ・レストラン部分が火事になってしまいました! びっくり。2月22日の深夜0時半〜2時半頃の出来事だったみたいです。

火事の翌朝、いつもは開いてるホスタルの門が閉まっていて妙だなと思っていたら、家のオーナーから「ラ・トーレが昨夜火事だったけど大丈夫か?」との連絡をもらって初めて知りました。そう言えば夜中、寝付けずリビングまで来たときに何か表が少し騒ついてる感じがするなぁとカーテンを開けました……。庭の向こうの道路に大きな車が停まっていて、心なしか明るかったけれど、ゴミの回収かしら?ぐらいにしか思わずに全然気がつきませんでした。家から徒歩30秒ほどのところなのに……。

イビザは、オフシーズンの間にいろんなお店が改修したり、メンテしているので、リノベーションすることになったと思えばいいでしょうか。ちょっと悲しいですが、シーズンまでにはバッチリ元に戻って、また賑やかな毎日になることでしょう♪

 

では、また次回のお手紙で会いましょう!

* * *

◆ゴールデンブッダ
http://www.goldenbuddhaibiza.com/en/

◆パイクス・ホテル
https://pikesibiza.com

◆サ・カペラ
http://en.welcometoibiza.com/restaurantes/san-antonio/restaurante-sa-capella/

 

[レター] a letter from IBIZA, Introduction

[レター] a Letter from IBIZA, Introduction 2

[レター] a letter from IBIZA, vol.1 (written by HIDEYO BLACKMOON)

a letter from IBIZA, vol.3 (written by HIDEYO BLACKMOON)

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