[レポート] The Labyrinth 2018 @苗場グリーンランド

ラビリンス 2018
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texts, photos and movies  by A-sk

日時:2018年9月22(土)~24日(祝月)
会場:苗場グリーンランド(南魚沼、新潟)

 

今年で18回目の開催となるラビリンス(The Labyrinth)。新潟県苗場グリーンランドでの開催は2009年からスタート。この会場での開催は今回で10回目であり、そして最後になるということだ。

僕がラビリンスに参加するようになったのは、会場が苗場グリーンランドに移ってからだ。だから、この苗場グリーンランド=Labyrinthというイメージがあり、大きな3つのティピとその間に挟まれた2つのFunktion-Oneが並んだ光景を見たり、会場に入るための小さな橋の門をくぐるたびにLabyrinthに帰ってきたなという気持ちになる。

The Labyrinth 2018

The Labyrinth 2018

今までLabyrinthに来ていた人たちは、それぞれに家族や仲間たちとのいろいろな思い出がある場所なのではないだろうか。そういう意味でこの苗場グリーンランドはLabyrinthにとっての聖地だと思う。そして僕もLabyrinthのファンの1人であり、この聖地での最終章を見ないわけにはいかないという気持ちで参加させてもらった。

今年のLabyrinthはアーティストのラインナップを事前に発表しないという。Labyrinth側の考え方はこうだ。

「私たちは音楽フェスティバルの体験において、驚きとミステリーを大切にしております。事前に出演アーティストを知り、その音源をチェックすることでイメージを膨らませることは容易ですが、時に過度な情報収集は深い体験の妨げになることもあるでしょう。

予習はせずに、情報がないまま当日を迎える。会場のエントランスでガイドを手に取り、そこで初めて出演者、タイムテーブルを知りイメージを膨らませる。3日間の体験をより一層特別なものにするべく、今年のラビリンスではこのような流れで迷宮の門をくぐって、皆さんの旅をスタートして頂けたらと思います
(出展:Labyrinth公式HP)」

いろいろな意見もあるとは思うが、個人的にはワクワクする!

ラインナップのアーティストがわからなくてもLabyrinthに行きたいという気持ちにさせるのは、やはり今までのLabyrinthが期待以上の素晴らしい音楽体験をさせてくれたからだろう。

この会場でのLabyrinthは雨が多く、台風直撃なんかも何度かあった。僕が初めて参加したのは2013年だった気がする。そのときは台風直撃でダンスフロアは膝くらいまで水が溜まり、最終日は中止になったことを覚えている。それでも楽しかったという思い出が残っている。

昨年(2017年)のラビリンスでも真ん中の日の夜は台風による避難警告が出された。今年は雨をさけ、1週間日程をずらしたらしい。それでも2日前に天気予報を見てみると、当日の3日間を含め1週間ず~~~~っと雨予報……、マジかぁ。

The Labyrinth 2018

去年も一昨年も雨。今年も雨の可能性が大だ。雨でも楽しめるような準備をしていこうということで、今回はキャンピングカーで行くことになった。車は友達のタッキーとミッキーがやっているキャンピングカーレンタルのNATIVE CARAVANで借りることにした。車内には椅子やテーブルなど便利な装備がいろいろと搭載されていて、最高のキャンピングカーライフが楽しめそうだ。

The Labyrinth 2018

キャンピングカーに荷物を乗せ、苗場グリーンランドでの最終回の迷宮の旅へ、Let’s go〜♪

みんなで運転を交代しながら現地に向かう。キャンピングカーでの旅は乗ってるだけで旅感がハンパない。アガるーーー! 普段なら運転はみんな面倒だから嫌がるが、キャンピングカーとなると話は違う。僕も率先して運転をしてみる(疲れてすぐに変わってもらったが)。

早めに現地に着いても車の中でちゃんと睡眠もとれる。キャンピングカーは少し上の場所に止めておいて、フロアの近くのテントサイトにテントと基地も作る。これで例え雨が降ってもキャンピングカーに逃げ込めばいいし、基地が2つあるから行ったり来たりしながらどっちでも好きな方で眠れるし……、余裕のある環境でパーティーを楽しめるぞー♪

エントランスでガイドを受け取った。

The Labyrinth 2018

タイムテーブルが事前に出てない分、ガイドがとても大切な物に感じた。タイムテーブルはこんな感じ。
 ↓ ↓ ↓

The Labyrinth 2018

初日の朝くらいまで降っていた雨も、オープン時間には止んでいた。地面はまだ濡れているが、少し青空も出てきたし、天気ももしかしたら大丈夫かもしれない。

The Labyrinth 2018

徐々に人も入ってきて、ちらほら知ってる顔も見えはじめる。まずは腹も減ってきたし、屋台で腹ごしらえだ。

1番初めの腹ごしらえはやっぱりこれ。最近どハマりのここのガイヤーン。

The Labyrinth 2018

結構いろいろなパーティーで出店している。Green Magicでもruralでも食べた。マジでここのガイヤーンは美味いから、どこかで見かけたら是非食べてみて欲しい。ガパオも絶品だ。

The Labyrinth 2018

仲間たちも少しずつ集まってきた。

The Labyrinth 2018

The Labyrinth 2018

自分たちの基地に戻り、キャンプを楽しむ。気がつけば日も暮れて、月が顔を出してきた。満月ではないがとても綺麗な月夜だ。

The Labyrinth 2018

キャンプサイトでゆっくりお酒を飲んでいると、初日の早い時間だというのに、すでにバチバチなテクノが鳴っている。タイムテーブルを見てみるとWata Igarashi&Harukaの時間だ。これはゆっくりしていられないと、早速フロアへ。いつものラビリンスとはまた違う雰囲気でアゲている。カッコいいなー。

空から柔らかく会場に降り注ぐ月光の中、ラビリンスの象徴でもあるティピとFunktion-Oneがパープルやピンク、そしてブルーにライティングされ、迷宮の世界へと吸い込まれていくようだ。いつの間にか時間もすべて忘れて、初日ラストの深夜2時半まで踊っていた。

The Labyrinth 2018

2日目、フラっとフロアの方に歩いていくとジュンさんがヨガをしている。太陽を浴びながらヨガなんて、とっても気持ち良さそうだなー。

The Labyrinth 2018

シャボン玉のOnchiもシャボン玉をあげている。今日も天気が良さそうだ。平和な昼下がりだ。

The Labyrinth 2018

あれ? そういえば昨日から一緒に来ている仲間のヨッさんの姿が見当たらない。基地に戻りヨッさんのテントを見てみると靴がある。まだ寝てるのか……。

ん? 隣りにもうひとつブーツがある。しかも……、どう見ても女性物だ。

そういえば今年の5月にruralに行ったとき、誰かがヨッさんのことを「カッコいい♪」 と言っていたらしい。OnchiがヨッさんのFacebookをその女性に教えて、後日1度2人で会ったとヨッさんから聞いていた。

もしやその女性と密室で大人の営みをしてるんじゃないだろうな!? 入口のファスナーは閉まっているが、中ではしっかり営業中なんじゃないだろな!!

僕も仲間に入りたいがテントが小さくて入る隙もない。いや、それ以前に大人の営みの最中に入っていく勇気がない! とにかく羨ましいぜ、ちくしょう!

しかしパーティーでのそんな出会いは、それはそれで文字通りのロマンスだ。仲間の幸せは僕も幸せと思いたい。とりあえずソッとしておこう……。

ヨッさんを置いてダンスフロアに行ってみると、ジュンさんは早くも衣装チェンジをしていた。

The Labyrinth 2018

流石だ。巷ではMr.Labyrinthとも言われているらしい。見てるだけでアガる。パーティー感が増す。

DJブースを見てみるとDJ Batuがプレイしている。僕が聴いたのはruralのときが初めてだが、それ以来お気に入りのアーティストだ。ruralとはまた違う曲調でフロアを盛り上げている。

The Labyrinth 2018

そのあとのタイムテーブルはAtom&Tobias、Peter van Hoesen、Donato Dozzyと、休む暇もないくらい盛りだくさんで、また気づけば夜中まで踊り続けていた。本当に素晴らしい夜だった。

The Labyrinth 2018

The Labyrinth 2018

個人的な意見を言えば、Labyrinthはフロアがひとつで、そのフロアも夜になると音が止まるところがいいと思っている。複数のフロアがあるパーティーもいいが、1フロアの方がパーティーとしての一体感がある気がするし、夜に音が止まることによってちゃんと睡眠が取れ、次の日もしっかりと体力が回復した状態で遊ぶことができる。

ずっと音が鳴り続けているパーティーだと寝るタイミングを逃し、疲れがとれないまま長い時間を過ごすことが多々ある。疲れているとアガるものもアガらない。自己管理能力が低い自分だからだと思うが、3日間の開催期間中、遊ぶ時間と休む時間の区切りがしっかりできた方が安心して遊べる気がする。

3日目になると2日間1度もあってなかった友達とも会える。1フロアだから最終日はわりとみんなダンスフロアに現れるのだろう。

ん? あそこにいるのは……、スペースカンタだ!

The Labyrinth 2018

奴をパーティーで見かけたことがある人もいるかもしれない。きっとウザいと思った人もいるだろう。しかし奴はうちらの仲間だ。悪い奴ではない。むしろいい奴だ。暖かく見守ってほしい。

スペースカンタが誕生したのは2016年のことだ。2015年の12月、僕は奴と一緒にタイのタオ島で行われるカウントダウン・パーティーへと向かっていた。そのときカンタはまだただのパーティー好きの普通の男で、普通過ぎてみんなに無視されると不平をこぼしていた。

タオ島に到着し、ふと立ち寄ったコンビニであの帽子が謎にたくさん売られているのを見た僕は「これだっ!」と電撃に打たれたように閃いた。

「カンタッ! お前はこれからこれを被れっ! キミの名前はこれからスペースカンタだ!!」

いよいよカウントダウン・パーティー“The Experience Festival 2016”がはじまると、カンタはその帽子を被り奇怪なダンスでフロアを沸かせていたのだ!

スペースカンタ

旅慣れた様子の外国人たちが

「Amazing!!! Where are you from!?」

とカンタに話かけているではないか! 今まで人から無視され続けてきたカンタが異彩を放つ存在になっていた。まさにカンタからスペースカンタへと生まれ変わった瞬間だった。

奴はそして味をしめたのだろう。それからというものパーティーの度にあの帽子をこっそりと持ってきていて、盛り上がる時間や好きなアーティストの出番になると、それを被ってフロアで踊るようになっていた。

しかしそうは言っても、スペースカンタはまだ生まれたばかり。まるでパンチドランカーのボクサーのように数歩歩けば膝から崩れ落ちてしまう生まれたての小鹿のような、まだまだ危うく、か弱い存在だった。

そして2017年、カンタも僕も米国で開催されたオレゴン皆既日食フェスティバル(Oregon Eclipse  Festival)に参加した。2人で会場を歩いていたときのことだ。

「A-skさん! ちょっと気になる服を見つけたんで一緒に買い物を付き合ってくれませんか!」

突然僕の手を力まかせに握りしめ、グイグイと出店ブースの方へと引っ張っていく。あるお店の前で立ち止まると、ひとつ大きく深呼吸をし、

「これですっ!!!どう思いますかっ??」

と商品を鷲掴みにして凄い勢いで言ってくる。

奴が握りしめた商品は全身タイツだった。柄はトライバルな感じでめちゃくちゃカッコイイ! …が、これどうやって着るの?

カンタがこの全身タイツを着る姿を想像すると……それはもう違法なんじゃないか!? 僕は少し恐ろしくさえなったが、奴は純粋な瞳を輝かせながら押し迫ってくる。

「う…、うーん……、いいんじゃない? いくら?」

「50ドルです!」

「あ、意外とこのクオリティで安いね……。いいよ…、カンタがいいと思うなら、いいと思うよ」

そして次に会ったときにはこうなっていた。

Oregon Eclipse 2017

しかもこれはオレゴン皆既日食フェスティバルのオフィシャルカメラマンが撮ってくれた写真。まさにスペースカンタの完成だ。

そして帰国後、Labyrinth 2017でこの全身タイツに着替えたカンタがテントから出てきたときのことだった。スペースカンタが立ち上がった瞬間に見知らぬ人が、

「あーっ! Oregon Eclipseの人ですよね!!写真一緒に撮ってください。うわー、嬉しいなー♪」

と、まるでヒカキンにでも会ったように喜んでいる。カンタすげーなー……、もう、有名人じゃんウフ。

もちろん今回のLabyrinthでもスペースカンタで登場だ。しかも少し進化してる。ウ、ウザイ……。

繰り替えずが、ウザイと思っている人もいるかもしれないが悪い奴ではない。むしろいい奴だ。暖かく見守ってほしい。

話は脱線してしまったが、3日目のラストを飾ったのはDJ NOBUだ。約5時間の素晴らしいセットだった。

The Labyrinth 2018 NOBU

最後の最後まで無我夢中に踊った。3日間踊りきった。

疲れきって自分たちのテントサイトに戻ってみるとヨッさんのテントの前に靴が2足……、まだ営業中かいっ! 営みかい! 男女の!

てか、フロアでヨッさん見てないぞ? 2日目の朝に気づいたときからずっとこのまま……、てことはつまり多分初日の夜から最終日の今までずーっと営み中だったってこと? やれやれ……、彼らはテントの中に入ったまま、今も愛のラビリンス(迷宮)をずっと彷徨っているのだろう。フフ…、営み……か。眩しいよ、空が。

あれ、そういえばうちらキャンピングカー使ってなくない? 最初に乗ってきて以降、パーティーが楽し過ぎてキャンピングカーの所には戻っていなかった。

ラビリンス 2018

今年のLabyrinthは天気にも恵まれ、3日間すべて晴れ。素晴らしい音楽体験と迷宮の旅だった。

この苗場グリーンランドでの最終章は完璧な形で終わったと思う。そして来年、新たな場所でのLabyrinthも楽しみでしょうがない。

ありがとうLabyrinth!!!

The Labyrinth 2018

 

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