[レポート] Universo Paralello #15, 20 ANOS

Universo Paralello 2020
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日時:2019年12月27日~2020年1月3日
会場:PRAIA DE PRATIGI(バイーア、ブラジル)

Universo Paralelloといば、パーティー好きであれば誰もが憧れるビッグ・フェスティバルだ。もちろん規模が大きいだけでなく、ローケーション、音楽、デコレーション、パーティーに対するアティチュード……など、どれをとっても素晴らしいクオリティで、まさに地上の楽園と呼ぶに相応しい。

そんなフェスティバルに僕がラインナップされるようになったのは2016年のHADRA Festival(フランス)での出来事がきっかけだ。

その夏はヨーロッパでは初のBOOM Festivalを体験した後、HADRA Festivalで約1時半のプレイを終えて、ブースから降りていくと1人の女性が、

「あなた今、私の息子の曲かけてたわね」

と声を掛けてきた。彼女の言っている曲は『Second-Make your choice(New Edit)』でDisc JunkeyのコンピレーションアルバムNEW DIMENSIONSの1曲目にも入っている曲だった。 彼女の息子2人(ALOCKとBHASKAR)はLOGICAと言う名義でPsy Trance曲を作っていて、僕は2007年にLOGICAの曲を渋谷のクイントリックス記憶をしっかり覚えていた。 そのうちの1人BHASKARのプロジェクトがSecondだった。

EKANTAは相方ALADINと一緒にUniverso Paralelloのプロモーションを兼ねたヨーロッパツアー中で、Universo ParalelloはDVD『デラシネ』で見たヤシの木の下のパラダイスだった。 僕は思わず、

「Brazilでプレイしたい!」

と嘆願すると、

「Come!Come!」

と笑顔で応えてくれた。その夏のヨーロッパは酷暑のため気温が高く、フランスの空も青く乾ききっていた。白いTシャツに黒革のベストを羽織り、サングラスをしたEkantaは小柄ではあるがとてもワイルドで、「姉貴ーーッ!」と頬づりしたくなるほど頼もしかった。

さて、このような一見社交辞令ともとれるようなやりとりを現実に引き寄せるためにはそれなりの段取りが必要だ。2017年3月、僕はChriston Cafeで開催した自分のパーティー“Stained Glass”にEkantaとALADINをブッキングして日本に招待する。

Stained Glass

 

そして2017年の12月、ずっと憧れていたUniverso Paralelloの地を踏むことができたのだ。その時の様子はすでにレポートした通りだ。

[レポート] Universo Paralello #14 NewYear 2018

 

2019年12月24日、2度目のUniverso Paralelloへと旅立った。今回はガールフレンドのEMIRIと一緒だ。年末に向けてエアーチケットが高騰していく時期だけれど、クリスマスの日だけは一時的にチケットが安くなる。この時期に海外へ行くことがあれば24日出発のチケットが狙い目だ。

ブラジルは日本のほぼ真裏にあたるため、米国経由でも欧州経由でも到着までに必要な時間はそれほど変わらない。値段も大差ないので、トランジットでもESTAが必要な場合のある米国経由よりも欧州経由の方が安心でおすすめだ。

●写真

 

エミレーツ航空でドバイまで10時間、トランジットに3時間ほどかかり、そこからリオデジャネイロまで14時間ほど。日付変更線も越えたにもかかわらず日付はすでに25日になっていた。

国内線に乗り換えサルバドールへ。2泊ほどしてペロリーニョ通りなどの観光も楽しんだ後、アーティストバスで会場へと向かう。バスのエアコンが壊れていたため、車内はとても蒸し暑い。誰かが

「これじゃ会場に着く前にローストチキンみたいになっちゃうよ」

と言い、みんなで笑った。

Universo Paralello#15

Universo Paralello 2020

 

アーティスト用のキャンプサイトはメインフロア裏にあるキャンプサイトの一番奥の一角だ(地図上の左上)。椰子の葉で覆った日除けの下にテントがずらりと並んでいる。アーティスト専用のBARなんかもあって快適だ。

●写真

 

Universo Paralelloには8つのフロアが(小さいのも含めるともっとたくさん)ある。メインフロアは29日深夜オープンだが、303 STAGEやUP CLUBなどのフロアは27日からはじまっている。28日のUP CLUBではVIVTOR RUIZなんかがプレイしていた。

UP CLUB

303 STAGE

 

 

【 2019年12月28日(土)】

朝はブラジルが誇るエナジーフード“アサイ”からスタートだ。もはや説明不要、世界中で人気のブラジリアン・デサートだが、やはりブラジルの灼熱の太陽の下で食べるアサイは最高だ。グラノーラやフルーツがたっぷりトッピングされているのでお腹も満たされる。

●写真

 

フードエリアは現金の使用はできず、Suicaのようにチャージしたカードで支払うようになっていた(物販は現金支払い)。レジでの混雑が緩和され、ポケットにはカード1枚入れておけばいいだけだったので気分的にも身軽だった。

ドリンク類はUniverso Paralelloのロゴが入ったプラスチックのカップを購入し、そこにリフィルしてもらう。缶入りのオリジナル・エナジードリンクも人気だ。

●写真

 

フードでよく食べたのはポルキロと呼ばれるブッフェの量り売りだ。サイドディッシュからメイン、デザートまでいろいろな種類の料理が並び、好みのものを好みの量だけ自分の皿によそって重さで値段が決まる仕組みだ。窯焼きのピザも人気だったし、ビーチ沿いに売り歩きに来るケジョ(チース)焼きもとても美味しい。

●写真(フードエリアかビーチか)

 

【 2019年12月29日(日)】

Universo paralello #15

深夜0時、SHOVEのDJでメインフロアがオープンする。今年のUniverso Paralelloのイメージは孔雀になっていて、メインフロアのデコレーションはDJブースから伸びてきた孔雀の羽が∞の時を描きながらフロア上空を覆うようになっている。

Universo Paralello #15

Universo Paralello 2020

Universo Paralello 2020

 

孔雀はローマの神々の母神であるユーノー(JUNO)の鳥だ。ユーノーの祭司や巫女は、聖なる行列のときに丈の高いクジャクの羽根の扇(flabelli)を持った。キリスト教の迷信では破滅の鳥とも考えられている孔雀だが、東洋では依然として極楽の鳥だ。すべてのヒンズー教の寺院の境内や王宮の庭を気ままに歩けるようになっていて、ときには神の啓示とさえ考えられているらしい。

 

【 2019年12月30日(月)】

当たり前だが真夏のブラジルは暑い。昼間の日差しは強烈だ。こんなときに大きめのストールを1枚持っているととても重宝する。単純に頭から掛けて日除けにもなるし、少し水で濡らして体を覆えば冷んやりとして気持ちいい。もちろんビーチで座ったり寝べったりするときには敷物として使えるし、夜になって少し肌寒くなってきたら体に巻きつければちょうどいい感じで過ごすことができる。

いよいよこの日の夕方、僕のDJの出番だ。去年のタイムテーブルでは1月3日の11:30〜のプレイだったため、すでにフェスティバルそのもののピークを過ぎていて、フロアに集まってくれたオーディエンスも数百人ほどで少し寂しい状況だった。

しかし今年は大晦日前日の夕方18:30から。しかも2つ前の16:30からはZYCEがラインアップされている。予想通りZYCEの時間には大勢のオーディエンスが集まり、メインフロアはずっと後ろの方まで満員の状態だ。

その後地元ブラジルのLABIRINTOのライブを挟み、満員のフロアのまま僕の出番がやってきた。ちょうど日が落ちて、少し涼しくなってくる時間だ。引き継いだフロアからただの1人も離れさせないよう、BPMを抑えつつも序盤からきっちりとしたリズムで畳みかけていく。

●映像

●EMIRI

 

 

【 2019年12月31日(火)】

メインフロアでは朝9時からDARK SOHO(IL)のライブ。夕方16:00からSHADOW CHRONICLES(ZA)、SHANTI(NL)、ATOMIC PULSE(IL)、VIBE TRIBE(IL)とライブが続いて20:00に音が止まった。

23:00、ETNICA(IT)のDUBセットで再びメインフロアがオープンする。カウントダウンがはじまり、0時になると同時に花火が打ち上がる。ETNICAはDUBセットからTRANCEセットに変わり、フロアはニューイヤーの盛り上がりをみせる。前回はこの時間にテントで眠ってしまっていた僕も、今回はしっかりと年越しの瞬間をダンスフロアで体験した。

 

【 2020年1月1日(水)】

1:00からはThe First StoneのメンバーであるZUMBIのソロプロジェクト(BR)のライブだ。この夜のメインフロアは、DJブース前の薄いレースのようなスクリーンにホログラムのような3Dの映像が映しだされ、とてもTRIPPYだった。

●映像

 

2:00からはUP CLUBへ移動してSTAN KOLEV、3:00からD-NOXと楽しみつつ、メインのJOHN PHANTASMへと再び移動し、そのまま4:30〜PROTOCULTURE(SA)で朝を迎える。すぐに303 STAGEで明るくなってくる水平線を眺めながらHANABIのDJで踊る。

そしてメインフロアに戻ると……Ekanta!!  僕がいまここにいるのは、あの日フランスで彼女が声を掛けてくれたお陰だ!  背の低いEkantaが台の上に乗ってDJしている後ろ姿を見ていると、どこか胸が熱くなるような気持ちだった。

●写真

 

Ekantaのプレイを最後まで聴き、UP CLUBへと移動するとそこではSWARUPのテクノセットだ。年明け早々からのこの流れはUniverso Paralelloならではで、僕にとっては間違いなく世界で1番HAPPYなニューイヤーだ。

 

【 2020年1月2日(木)】

11:30〜ATMOS(SW)、13:00〜GROUCH(AU)、14:30〜LOGICA(ALOK&BHASKAR、BR)、15:30〜ASTRIXと続く。今回のUniverso Paralelloでびっくりしたのは会場までヘリで来るアーティストたちがいたことだ。フロアの上空をヘリが横切るたびに、今度はどのアーティストが到着したのか? と気になった。

ASTRIXもヘリでやって来て、フロアを完全にロックして帰って行った。DJブースのすぐ後ろまで迎えの車が来ていたのだが、出待ちするファンに囲まれてなかなか車まで乗り込むことも出来ない様子だった。

●映像

 

17:00〜RINKADINK(SA)を挟み、18:00〜いよいよTHE FIRST STONEのライブがはじまった。SWARUP、ZUMBI(NEVERMIND)、GUSTAVO(BURN IN NOISE)の3人組みで、ここブラジルでは絶大な人気を誇るトップアーティストだ。そもそもこのフェスティバルは20年前にSWARUPが中心となってはじまったもので、つまりTHE FIRST STONEのホームグラウンドだ。その求心力は文字通り別格で、世界中のヘッドライナーたちでもかなわない。

 

●EMIRI

 

この日の夜は昨夜のホログラムとは違い、DJブースのデコレーションに合わせたプロジェクション・マッピングだった。デコレーションの模様の細かいところまで正確にマッピングされた映像はとても綺麗で見応えがあった。

●映像

 

 

【 2020年1月3日(金)】

早いもので7日間のフェスティバルももう最終日だ。9:30〜日系ブラジル人DJのMACK(BR)のプレイがはじまる。誕生日が近かったらしく、DJブースの裏ではバースデーケーキと花火でバースデーパーティーが同時進行していた。

●映像

 

11:00〜メインフロアのMAD TRIBE(SPACE TRIBE&MAD MAXXX)を少し聴いてから303 STAGEへと移動する。

●映像

 

マーメイドをイメージしたような303 STAGEでは12:00〜、なんとDJ EMIRIがラインナップされているのだ。なにせ今回の旅は出発前からずっとEMIRIと2人3脚で一緒に行動してきた。今まさにEMIRIの晴れ舞台が、ここUniverso Paralelloで幕明けたのだ!

●映像

 

さて、ここまで読んでくれた読者の中には、ところでDJ EMIRIって誰?と疑問に思う人も多いだろう。それもそのはず、EMIRIがDJとしてプレイするのはこれが初めての舞台なのだ!

そもそもSWARUPが、夏のヨーロッパで僕と一緒にいたEMIRIを見て、

「キミはBIGになる、YAMATOと一緒に来てUniverso Paralelloでプレイすればいい」

と、彼女のことを何も知らないのにブッキングしたことからはじまった。この時点でEMIRIはDJ未経験、ターンテーブルにもCDJにも触ったことがない。ただ、音楽ファミリーに生まれ育ってるから音楽的なバックグラウンドは豊富で、ダンスミュージックにも中高生の頃から慣れ親しんでいたそうだ。

とにかく未経験でブッキングされてしまったものだから、それから出発までの数ヶ月は特訓の毎日で、僕は持っているテクニックや知識のすべてを彼女に教え込んだ。

DJ EMIRIのデビュープレイはどうだったか? さすがは僕が教え込んだだけのことはある、初舞台とは思えない堂々としたプレイっぷりで、もともとセンスもいいから昼間のビーチに心地よい選曲でストーリーを組み立てていた。彼女は英語も堪能で社交性もあるから、バックステージではむしろ僕なんかよりチヤホヤともてはやされていたような……。

●写真

 

 

17:00〜、メインステージで大トリのSWARUPのプレイがはじまる。いよいよフェスティバルの最後だ、EMIRIと一緒にダンスフロアで踊る。11:00以降はずっと1時間刻みで続いたタイムテーブルだがラストのSWARUPはやはり少し長めにプレイするのだろう、1時間が経ち18:00になっても終わる気配がない。DJプレイだし、1時間半くらいやるのかな?

そもそもタイムテーブルには終わり時間の記載はなく、何時に終了するのかわかならい。18:30を過ぎてもまだ続いている。最後だし少しサービスして、もしかしたら2時間近くプレイするのだろうか。もちろん僕らも最後まで付き合うつもりで踊り続ける。

夏のブラジルとはいえ、すっかり辺りは暗くなった。SWARUPがプレイしはじめてからすでに3時間が経ち、時間は20:00を過ぎている。ちょっ……と疲れてきたかな。でも、ま、いつ終わるかわからないし、もしかしたら次の曲で最後かもしれないし……、とにかく踊り続けよう。

EMIRI、ちょっと疲れてきたからさ、フロアの後ろのお立ち台のところで座りながら聴かない? 曲調が終わりっぽくなってきたらまた踊りだせばいいっしょ、もう21:00過ぎてるし……。

なんかちょっと寒いな……? うわ、やべ! いつの間にかお立ち台の上で眠ってしまった! SWARUPの最後を聴き逃してしまった……、て、まだやってるんかーい!!

結局SWARUPは翌日1月4日の朝5時まで12時間プレイし続けた……ゴアギルかっ!

 

【まとめ】

今回のUniverso Paralelloはよく雨が降った。とは言え、、1日に1回ザーッと夕立のように降る感じで、それが昼のときも夜のときもあった。雨が降ると気温が少し下がり、多少過ごしやすくなるので恵の雨でもあった。

メインフロアの熱量は相変わらず凄いものだったが、ヨーロッパのサイケデリック・トランスシーンを感じさせる303 STAGEもよかった。ビーチフロアなので風の通りもよく、暑ければすぐ海に飛び込めるのも気持ちよかった。

僕のプレイでいえば、今回はメインフロアから溢れんばかりのオーディエンスの前でプレイできたし、きちんとフロアを盛り上げることが出来たのでとても満足している。ZYCEからの流れで満員のフロアを引き継ぎ、しかも夜に向けて涼しくなってくる時間帯だったなど、タイムテーブル的に恵まれていたことは事実で、巡り合わせの大切さを強く感じた。今までずっとDJを続けてきて、いろいろな現場で積んできた経験を今回のチャンスに活かしてしっかると応えることが出来たのは自分としても嬉しかったし、大きな自信につながった。

 

 

 

 

 

 

 

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