[レポート] L…Deep Open Air 2018

L...DEEP open air 2018
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日時:2018年10月6〜8日(土〜祝月)
会場:西丹沢 大滝キャンプ場(足柄、神奈川)

8月中旬、Festival Tripのアドレスにパーティー情報の掲載を希望するメールが入った。仲間から直接頼まれたり、知人を通して掲載を求められることはあるが、まったく面識もない人物からメールが入るのは珍しい。L…Deepという、聞いたこともないパーティーだ。

情報を掲載するといっても、まるで知らないパーティーだから何を書けばいいのかわからない。せっかく連絡してきてくれたのだから協力してあげたいが、メールで送られてきたPR用の告知文だけを転載するのも腑に落ちない。ネットにインタビュー記事が公開されているということなので、そのインタビューを読んで感じたことを書き足して告知記事として掲載した。

L…Deep Open Air インタビュー

L…Deep Open Air 2018

数日後に記事掲載のお礼メールが入る。パーティーにも招待してくれるということだが、あいにく3連休には別件で撮影が入りそうだ。

10月になり実際に3連休がはじまると、ラッキーなことに初日の土曜日だけで撮影は済んでしまった。以前から声をかけていたToppyに連絡し、夜22時に待ち合わせをして出発した。

会場の大滝キャンプ場は足柄だから、都内からでもアクセスしやすい。東名を大井松田ICで降りると、霧雨のような細かい雨でフロントグラスが曇りだす。コンビニで簡単な買出しを済ませ、到着したのは深夜0時ちょうどだった。

L...DEEP on the way to

エントランスで名前を告げると、スタッフたちは早くも歓迎ムードで気分がいい。車を止める場所やテントを張る場所などを教わり、会場内の道を車で進む。

L...Deep 会場MAP

会場の配置としては、エントランス(地図左側)を過ぎると左側にダンスフロア、フードなど数店舗の出店が並ぶマーケットエリア、トイレ、シャワーなどのスペースがあり、道を挟んだ右側(地図の下側)に細長くテントサイトが続く。緩やかにカーブする下り坂をそのまま進むとT字路のような形で川とぶつかる。川に沿って左に進むと縦列駐車した車がずらりと続いていて、川辺にはテントが並んでいる(地図右側)。T字路を右に進むと少し広めの平場があり(地図右下角)、こちらもテントサイトになっている。我々は車を止めた後、右側の平場の方にテントを張ることにした。

道中で少しだけ降っていた雨も、会場に着いたときには止んでいた。テントを張り終えると、先ほど買い出したビールで乾杯だ。テントサイトからフロアは見えないが、FUNKTION-ONEのクリアな音がよく聴こえてくる。周囲は山で囲まれ、雨上がりの空気がしっとりとして心地良い。限定350人というから野外パーティーの規模としては小さいが、会場のキャパシティ的にはちょうど良い感じで、テントまわりにも余裕があってゆっくりとリラックスできる。夜は寒いかと思ったが、長袖1枚で十分な感じだ。

L...DEEP タイムテーブル

初日の夜はTOMO HACHIGAの時間に少しダンスフロア周辺を徘徊し、早々とテントに戻って休むことにした。

2日目(日曜日)、10時頃にテントの外へ出る。晴れだ。山の稜線に切り取られた青空がすがすがしい。澄み渡った空気を震わせて、ダンスフロアの音が会場じゅうに響いている。実際、テントの前でキャンピングチェアに座って聴いていると、音質も音量もちょうどいい具合で、朝からなんて贅沢なんだろうと感心してしまう。

本日は昼間の12時~15時までは音が完全に止まるから、その前に少し楽しんでおきたい。今プレイ中なのは宇都宮を拠点とするTMAK、そして11:30からはじまるJITZUWAFINDERはアンビエントのライブだということだが、どちらも楽しみだ。

ライブが終わり、カメラと三脚を片付けようとしていると、長髪にパーマをあてたサングラスの若い男が話しかけてきた。

「どなたかお友達の撮影ですか?」

「いや……、友達っていうか、ちょっと取材で……」

「あ…、Festival Tripのゴルゴさんですか?」

ん?

「深田です! メールでやりとりした……」

なるほど、君がメールで連絡をくれた深田くんか! なんだか全然くだけた感じじゃないか。深田くんはKYONと呼ばれているらしく、つまり冒頭で紹介したインタビュー記事で応えていたのも深田くんだったわけだ。

も読んでますよ♪」

フフ……、ならばそれを最初のメールに書いといてくれれば話は早かったのに……。わざわざ『深田様、お世話になっております……』なんて書き出しで返信してしまったじゃないか。慣れない敬語を使って返信したので、ちょっと恥ずかしいぞ (~_~;)

とにかくKYONは非常にできた若者で、

「時間の許す限りゆっくりしていって下さい」

なんて言っているが……、いったいどこでそんなセリフ覚えたんだ!? 俺なんてこの歳になっても1回もそんな大人なセリフ言ったことないよ! チックショ~!!

前述した通り、12時~15時は音が出ない。この時間には地元の温泉へのツアーバスも出ているらしい。興味をそそられるが、せっかく天気もいいので目の前の川で沐浴することにした。

L...DEEP TimeTable

L...DEEP 温泉バスツアー

西丹沢大滝キャンプ場というだけに、川の水はとても澄んでいる。どれだけ冷たいのかと思って足先を入れてみるが、思ったほどキンキンというわけでもなさそうだ。山が近いだけに日がかげるのも早そうなので、直射日光が当たっている今のうちに全身ジャボリと浸かっておく。

L...DEEP キャンプサイト

L...DEEP 20018

頭の先からつま先の爪の裏まできれいさっぱりし、Toppyとテント前に並べた椅子に座って時間を過ごす。他の参加者たちも川辺を散歩したり、自分のテント前でBBQしたりと、それぞれゆる~い時間を過ごしている。確かに気持ちいい自然に囲まれて時間を持て余すなんて贅沢な話だが……、どうせならチルでいいから音楽かけといてよ! せっかくFUNKTION-ONEあるんだからさ! 鳴らさなきゃ、もったいないじゃん!!

15時になって音が戻ってきたので、ダンスフロアに行ってみる。昼間から夜の早い時間帯まではジャンルもさまざまで、バリエーション豊かなアーティストが続く。

21:30からはFutureTerrorのHARUKA、そして23:30からのCMTへと続く。Toppyと俺にとっては1番楽しみにしていた時間帯だ。特にCMTは7月初日のZIPANG 2018で体験して以来我々2人のお気に入りだ。ToppyはZIPANGの後、CMTのミックスCDを買い漁っていて、コピーして俺にくれたものだけでも10枚以上ある。

フロアの横で続くライブ・ペインティングもすこぶるカッコいい。ちょっと話しかけてみると、なんとライブ・ペインティングをやるのは初めてだという。「ガキの頃の落書きの延長だよ」などとカッコいいことを言っているが……、どんだけ凄い落書き画いてたんだよ!

Live Painting at L...DEEP

Live Painting at L...DEEP

Live Painting at L...DEEP

Live Painting at L...DEEP

彼はKYONの兄貴分らしく、途中でKYONも何度もペインティングを見に来ては、感心した様子で頷いていた。

期待通りの時間を満喫した後はMossのライブだ。少し抑えめのBPMで隙間をつくり、いい感じでフロアをリードしていた。

深夜2:30からはL…Deepのレジデンツであるhiroの時間だ。女性のDJだが、もう変わりっぱなから凄い音だった。Toppyはすぐに俺の方に近づいてくるとDJブースを指差し、「ドSだね♪」と言って嬉しそうに笑った。

俺はフロアの後方正面で録画ボタンを押したままのカメラモニターを凝視しながら、ず〜〜っとhiroの出す音に聴き入っていた。途中、フロアから誰もいなくなる瞬間などもあって、逆にそんなときは女シャーマンが降臨しているような恐れ多い雰囲気すら漂っていた(例えば下の動画の1:01:20〜あたりとか…)。

夜の時間は3rd EYE JapanによるレーザーやVJなどの光の演出もすざまじく、山の斜面まで利用して神々しいほどの空間を生み出していた。
いや、マジですっげ〜〜〜!!
カッコいい〜〜!!

夜明けの時間にALTZ、そして完全に夜が明けてからはSLEEP DのB to Bプレイが3時間続く。天気は前日とは変わって曇り空だが陶酔感を誘う緩めの音が心地よい。

9:30からはラビリンスのSoが、次いて11時からはRyan Davisがプレイした。Ryan Davisはドイツ人だというからガチガチのジャーマン・テクノかと思っていたが、予想に反して透明感のある爽やかな音だった。

そして最後のDJはレジデンツのIori Wakasa。ヘッドライナーたちが続いた後のクローザーの役割を、落ち着いたプレイでしっかりまとめあげていた。曇っていた空からも薄日が漏れ、ダンスフロアにもたくさんの人が集まって、まさに大円団といった雰囲気だった。

L…DEEPは湘南に住む仲間たちがオーガナイズするローカル色の濃いパーティーだ。もう20年以上前の話になるが、自分も1年ほど茅ヶ崎に住んでいたことがある。都内から第3京浜と横浜新道を使って、渋滞がなければ1時間足らずで行き来できる距離だが、そこを流れる時間や空気感は東京のそれとは明らかに違っていた。

平日の午後4時くらいになるとキャップを被ったサーファー風の女のコが大きな犬を連れて散歩に出掛け、サーフショップの前で店のスタッフと長話をし、その間に何人かの似たような仲間たちが店に立ち寄ってはしばらく立ち話に加わり、よく日に灼けた顔で笑い、そして去っていく。それが茅ヶ崎や辻堂辺りの典型的な日常だ。一軒家でもアパートでも、家に入る前に浴びられる外シャワーがついていたりする。ゆったりとした空間の中でたっぷりした時間が少しづつその色と形を変え、遥か向こうの水平線から空と海が絶え間なく生まれてくる。

star night at L...Deep

L...Deep 2018

L…DEEPの会場に漂っているのは湘南の空気で、流れているのは湘南の時間だ。止めてある車の四駆率は高く、フロアでのサングラス率も高い。仲間たちで集まり、素晴らしいサウンドシステムを鳴らし、アーティストもオーディエンスもスタッフもそれぞれが好きな時間を楽しむ。いきり立った奴なんてひとりもいない。

まったくもって贅沢な遊びだと思う。KYONとその仲間たちが1年に1度の宴を催し、「さあ、みんなで遊びましょう♪ 」と風呂敷を広げる。それは理由もなく、ただただ楽しむためだけの祝祭だ。待ってましたとばかりにたくさんの仲間たちが集まり、安心して思い通りに3日間遊び尽くす。プライベートパーティーのようなリラックスした雰囲気に満たされつつ、ひとつひとつのクオリティはとても高い。広げた風呂敷の境界線は山と川に吸い込まれ、いつの間にかまわりには無限の空間が広がっている。

L...DEEP 2018

今回、参加する前からアウェイのパーティーだと覚悟していた。知り合いなんて誰もいないだろうと思っていたが、見事に誰もいなかった。辛うじてToshiki(Matusri Chill/音風)と、途中から来ていつの間にかいなくなったハヤトと、最終日の昼間になってようやくフロアに出没したタカマサの3人に会っただけだ。しかし、にもかかわらずL…Deepはとても居心地がよく、そして楽しいパーティーだった。それは例えば、出番の終わったCMTがほとんどいつもダンスフロアで時間を過ごしていたことからもうかがい知れる。

Live Paint at L...DEEP 2018

Live Paint at L...DEEP 2018

Live Paint at L...DEEP 2018

来年も必ず行きたいパーティーがひとつ増えた。一緒にパーティーを楽しめる仲間が増えた。結局、パーティー巡りをしていて1番嬉しいことは、こういうことなんじゃないかと思う。

 

Life is a Trip, a Festival Trip.
誘ってくれて、ありがとね (^_−)−☆

 

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