texts, photos & movies : CHUN
日時:2020年2月7~9日(金~日)
会場:Hill Top, GOA(ゴア、インド)
……前編から続く。
■Hill Top Festival 2020、2日目
昼過ぎの起床。一昨日しんのすけさん&さなみさん夫婦に教えてもらった、『Artjuna(アートジュナ)』で遅い昼食。すぐ近くの席では、Koxboxのフランキーが食事中だった。一度宿に戻って、Hill Topへ。
メインフロアでは、ロシアのGoatikaがプレイしていた。
Goatikaの後は、楽しみにしていたDominoが登場。近年あまり彼女の名前を見かけることはなかったが、Domino健在!を感じられる力強いプレイだった。今回のHill Top Festivalのベストアクトの1つだったと言っていいだろう。
Alternative Stageを覗くと、イタリアのDJ Joskoがプレイしていた。日本のレコード店、ディスクユニオンのTシャツを着ていた。日本にもよく来ているようだ。
Dominoの後のメインフロアには、イギリスのAvalonが登場。キラキラのTシャツを着て、メインフロアのオーディエンスをアゲにアゲていた。ファイヤーパフォーマンスも楽しませてもらった。
2日目のトリは、Space Tribe。1日目のAstral Projectionもそうだったが、Hill Topの夜の異空間とSpace Tribeのパフォーマンスがオーディエンスを宇宙空間に誘う。
写真を撮っていると、インド人のオフィシャル・カメラマンに「バックステージに来るか?」と声を掛けられた。彼とはパーティー中よく目が合って、昨日今日と撮影グッズを貸していたのだが、これは願ってもない申し出だった。
彼の後に付いて行き、Hill Topのバックステージへ。初めて足を踏み入れた。ステージまで上ると、Space Tribeがすぐ目の前でプレイしていたが、ぼーっと突っ立って、しばらくは撮影を躊躇していた。
ステージ上には、ドイツのAntaris Project 2018で会ったオーストラリア人カメラマンがいたので、まず彼に撮影しても大丈夫かを確認し、他のオフィシャル・カメラマンたちにも声を掛けておく。最後にHill Topのオーナーの息子で、メインオーガナイザー(現場責任者)のStarling Dsouzaにも撮影許可を取った後、フロアのお客さんの邪魔にならないように、DJブース後方および脇から、大御所 Space Tribeを思う存分撮影させてもらった。この日はSpace TribeのTシャツを着て行ったので、本人も内心喜んでいたに違いない。
Space Tribe終了後、バックステージに連れていってくれたインド人のカメラマンにお礼を言って一旦別れた。いつものチャイ屋で休憩後、Alternative Stageに行くと、Digital Hippieがプレイしていた。
Alternative Stageはまだまだ盛り上がっていたが、Hill Topを出てバイクに乗って、昨夜同様、Hill Top Festivalのオフィシャル・アフター・パーティーへ。昨夜は大行列だったChronicle Goa(クロニクル・ゴア)だったが、この日はHill TopのAlternative Stageで、音を出し続けていたためか人が分散し、それほど並ばずに入場できた。昨夜のリストバンドは使えず、この日も入場料を別途徴収され、2,000ルピー(約3,000円)だったと思う。
昨夜同様、ダンスフロアはすし詰めだったが、フロア前方、DJブースの近くまで移動すると、近年Space Tribeと一緒にやっているMad Maxx、そしてDominoのプレイをすぐ近くで見ることができた。
一度宿に戻って、しんのすけさんに誘われた別のパーティーに向かった。会場はバガトールにあるShiva Placeで、入場料は1,000ルピー(約1,500円)だった。Shiva Placeは、Chronicle Goaと同じくビーチに面した会場で、昼に周辺を歩いたことはあると思うが、パーティーに来たのは初めてのような気がする。砂浜のダンスフロアはブラックライトの蛍光灯が怪しく光り、少々ミーハーでハイソな感じのChronicle Goaと比べると、昔ながらのゴアのパーティー会場というか、アンダーグラウンドな雰囲気が満載だった。
しんのすけさんからKagerouがVJすると聞いて来たのだが、しんさんは来ていないようで、残念ながらKagerouのVJは見ることができなかった。Shiva Placeのビーチ・パーティーの様子を少し撮影して、しんのすけさんに先に帰る旨を伝えて、宿に戻った。
昨日同様、汚れまくった足元と身体を石鹸でゴシゴシ洗い、シャワーがなかなか熱くならないので、行水方式で洗い流した後、夜明け前、就寝した。
■Hill Top Festival 2020、3日目
この日も昼過ぎの起床。前回も訪問した、バガトールとチャポラの間にある日本食レストラン『Sakana(サカナ)』で遅い昼食。さっぱりとしたものが食べたかったので、冷やし中華をいただいた。餃子も注文。ゴアで美味しい日本食が食べられるなんて、ありがたいことだ。隣りの席をふと見ると、1日目のトリを務めたAstrixが寿司を食べていた。アンジュナ&バガトール・エリアは狭いので、昨日のKoxbox同様、アーティストを見かけることもある。プライベートの時間を邪魔しないように、気付かないふりをした。一度宿に戻って、Hill Topへ。
メインフロアに行くと、前述したデンマークのKoxboxがプレイしていた。1990年代から活動を続けているベテランだ。
その後、イスラエルのShivaTreeに交代。初めて見たが、夕方のメインフロアをいい感じにアゲていた。
19:00からはギリシャのMartian Artsがプレイ。Raja Ram主催のTIP Worldからも2017年にフルアルバムを出していて、今回初めて聴いたが、なかなか良かった。
Alternative Stageでは、インドのMofongoがプレイしていた。Liminal Rootsの名義で活動しているアーティストで、OZORA Festivalにも出演してようだ。Hill Topの入口付近から、Alternative StageのMofongo、そしてメインフロアのMartian Artsまでの様子を撮影してきたので、動画を見てもらうと、会場の全体像が掴めると思う。
3日目のトリはスイスのAjja。ここ数年はHill Topのパーティーでも毎年のようにプレイしており、今シーズンは2019年12月中旬、2020年のNew Year Partyでもプレイしていた。
昨年も同じことを書いたが、Raja Ram、Astral Projection、Astrix、Space Tribeではなく、Ajjaが大トリを務めるということは、彼がHill Topの看板アーティストであり、現在のゴア・トランスの顔だと言ってもいいだろう。特にインドでは一番の人気アーティストなのだろう。今年のHill Top Festivalも大トリのAjjaがオーディエンスを一番集めており、メインフロアの後ろまで人でいっぱいだった。
定刻どおり22:00ぴったりにメインフロアのAjjaは終了。アンコールもなかったので、おそらくアンジュナ警察がうるさくて音を出せないのだろう。
メインフロアが終わった後も音を出し続けていたAlternative Stage周辺をうろついていると、懐かしい顔を見かけたので、思い切って声を掛けてみた。2004年のブラジルのパーティーやフェスティバルでよく会い、同年のドイツのVoov Experienceでも会った、日系ブラジル人女性のドゥルカだ。その後まったく会わなかったので、実に16年ぶりの嬉しい再会だった。息子連れで来ており、元気そうで良かった。
Hill Top Festivalのオフィシャル・アフター・パーティーへ行ってみると、この日もそれほど並ばずに入場できたが、ダンスフロアはやはり超満員だった。Koxboxと次のAjjaのプレイだけ見て、宿に戻った。
部屋のベッドで横になると、しんのすけさんからメッセージが入った。
「今、Shiva PlaceでKagerouがVJをしてて、かなりすごいので、絶対に撮影したほうがいい」と誘われたが、Hill Top Festivalとアフター・パーティーにも3日連続で参加して、さすがにお腹いっぱいで、再出動の気力はなく、そのまま宿で休ませてもらった。
■フェスティバルの後
翌日も昼過ぎの起床。この日は帰国前の休養日。バイクを停めて、アンジュナビーチを歩いて南下。South Anjunaの『Shiva Valley』まで歩いて、遅い昼食を食べて、海を見ながらゆっくり過ごした。
次第に太陽が地平線に近づいてきた。ビーチ・フロントのお店を出て、夕暮れのアンジュナビーチを散策し、美しい夕日を眺めた。
昨年は弾丸すぎて夕日の時間はいつもHill Topにいたのでビーチまで来れず、アラビア海に沈む夕日は見逃していた。今回はフライト日も含めて、旅行期間を8日間取ったので、アランボールビーチとアンジュナビーチで、合計2回夕日を眺める時間を取れた。世界中で夕日の名所は多くあると思うが、どこの夕日が好きか聞かれたら、真っ先に思い浮かぶのが、ここゴアのビーチでの夕日だ。可能であればパーティーに参加しない休養日を設けて、ゆっくりできる時間も楽しめるといいだろう。Hill Top Festivalはもちろん最高だったわけだが、フェスティバル後のチルアウトの1日も、今回の旅のハイライトだったと思う。
太陽が地平線に沈む頃、アンジュナビーチのShore Barの前で「日本の方ですか?」と日本人男性に声を掛けられる。慎太郎さんという写真家で、名刺交換をして友達になった。海外旅行中「日本の方ですか?」という第一声は、話のきっかけ作りには良いセリフだと思う。ご縁に感謝!
日没後、しんのすけさん&さなみさん夫婦と合流し、アンジュナの老舗イタリアレストラン『Basilico(バジリコ)』で夕食。
夜、Shore Barで開催されたDance of Shivaのパーティーを少し覗いて、宿に戻って、就寝。
翌日の午後便でゴアを出発。ムンバイ経由で、帰国の途についた。
■帰国後、日本
帰国の翌日、仕事に戻ったものの、意識はまだ楽園の中だったが、クレーム対応で一気に現実に引き戻された。その後の新型コロナウイルス対応でも、てんてこ舞いの日々が続いた。
Hill Topは3月中旬までパーティーを開催していたが、全世界的規模の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、シーズン途中で休業となった。現在はStudio Sessionの動画配信をときどき行っており、外出禁止令の中、近隣住民への食事提供サービスも行っているようだ。
ドイツの老舗フェスティバルAntaris Projectも今年は中止、2年に一度開催されるポルトガルのBOOM Festivalも今年は中止で来年に延期、ハンガリーのOZORA Festivalもチケット販売を一旦停止している状態だ。日本でも春風をはじめ、多くのパーティー、フェスティバルが延期または中止を余儀なくされている。
世界の多くの国々では感染者・死者が増え続け、各国で国境封鎖・外出規制が行われ、ついに日本でも緊急事態宣言が出された。そんな厳しい状況下、外出禁止令中のインドから、嬉しいコメントが届いた。
Thanks for recording Hill Top videos.
You teleport us back there evrey time.
3月上旬から動画を少しづづアップロードしてもらっていたが、Hill Topへのテレポートを楽しんでいる人がいて良かった。世界中が外出規制や自粛ムードに包まれる中、今回のレポートを寄稿するのはかなり憚られたが、今年行った人はその余韻を味わうために、来年以降検討している人は予習として見てもらえれば幸いだ。
今現在できることと言えば、手洗い・うがいに努め、リスクの高い場所に行くのは控えるなど、ウイルスに感染しないように細心の注意を払い、嵐が過ぎ去るの待つほかないのかもしれない。先行きの見えない中、不安な気持ちにもなるが、必ず終息する日は来るはずだ。近い将来また、Hill Top Festivalのような素晴らしいフェスティバル、パーティーに行けることを心から願っている。