[レポート] SANCTUARY 2018 ~Odaiba Dance Music Festival~

SANCTUARY 2018
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日時:2018年7月8日(日)
会場:J地区特設会場(お台場、東京)

SANCTUARYは今年で開催2年目となる都市型ダンスミュージック・フェスティバルだ。主催者であるDJ DRAGONはTOKYO No.1 SOUL SETの初代メンバーでもあり、現在は武田真治とのユニットであるBLACK JAXXとしても活動している。DJ歴20年を越えるベテランだ。

知人から誘われ、豊洲駅でゆりかもめに乗り換えて最寄り駅の青海駅へ。ゆりかもめは運賃が高いという印象だが、なんと車両の先頭に座ることができる。コンピューター制御による自動(無人)運転のため、車両に運転手や車掌はおらず、普通の列車なら運転手のスペースである先頭に乗車できるのだ。ちょっとしたジェットコースター感覚を味わえ、会場に着く前から気分がアガる。

14時過ぎに青海駅に到着。駅のホームからはSANCTUARYの会場が見下ろせる。とても近い。駅を出るまえに小便でもしておこうとトイレに向かうと、偶然にもTSUYOSHI SUZUKIがやはりトイレに向かっていた。TSUYOSHIは15時からEARTH STAGEでラインナップされている。連れションしようと挨拶するが、「僕はいつもこっちなんで、キラリ」と歩き去った先は女子トイレ……。さすがトップ・アーティスト! 堂々としてるぜ!(←本当は、誰でも使用可能な多目的個室トイレに入っていきました♪)

タイムテーブル SANCTUARY 2018(タイムテーブルはクリックで拡大)

会場へ入ると、OCEAN STAGEでJohn Robinsonがプレイ中。自分は思いっきりヴェルファーレ世代なので懐かしい。もっとも、当時もJohn RobinsonのDJを聴いた記憶はないが……。

タイムテーブルを見てもわかるが、会場はいくつものステージで成り立っている。メインとなるOCEAN STAGEとEARTH STAGEの2つは、ステージがしっかり組まれていて規模も相当大きい。反対側に少し小さなSKY STAGEがあり、フードエリアを挟んでRed Bull DJ CARが配置されている。そこからまたEARTH STAGEに向かっていくと小さなAIR KIDS STAGEがあって、その向こうにKIDS DOMEがある感じだ(下の地図とは若干異なる)。

map sanctuary 2018

これだけの数のステージが集中しているイベントといえば『渚音楽祭』を思い浮かべる人もいるだろうが、渚に比べるとスペースに余裕があり広々としている。ごちゃごちゃとした印象はなく、比較的ゆったりした感じだ。フードエリアにもテーブルと椅子がたくさん用意されているので安心だ。

天気は晴れ。東京地方はすでに1週間以上前に梅雨明けしていて、本日も暑い1日になるに違いない。

SANCTUARYは誰もが参加でき、楽しめるイベントだ。公式サイトの文言を引用しておく。

現役クラブファン、なかなか遊びに行けないママさん、フェス初体験の子供達、 「大人も子供も楽しめるダンスミュージック遊園地を作りたい!」思いで始めたフェスティバル、それがサンクチュアリーです。初開催の2017年7月16日、 海の日の祝日、晴天の空の下に約7500人が集まりました。4つのステージから同時に様々な音楽が楽しめる。回遊型のフェスティバル。 小室哲哉、DJ KOO、DJ KAORIなど総勢40組のDJが出演! 子供も大人もみんな笑顔で大盛況な1日となりました。 KIDエリアではDJ体験などの様々なアクティビティーが大人気! フードコートで食事などを楽しみながら ダンスミュージックを楽しめる都市型フェスティバルです。
(出典:SANCTUARY 2018公式サイト

アーティストのラインナップを見てもわかるように、SANCTUARYはパーティー・フリークだけのためのイベントではない。むしろ普段はパーティーに縁のないような人たちが楽しみやすいようなダンス・イベントだ。

実際、若くてプリプリした感じのコからある程度年配のお客さんまで、オーディエンスの客層は広い。そして子供たちがとても多いのも特徴だ。いつでも日陰になったKIDS DOMEのほか、バンジーや水遊び、シャボン玉など子供たちが楽しめるコンテンツもたくさん用意されている。

派手でわかりやすい音楽が多いが、前述のTSUYOSHI SUZUKIや田中知之(FPM)、Q’HEY、そして“テクノ・ゴッド”ことKEN ISHIIなど、耳の肥えたオーディエンスも満足できるようなアーティストもきちんと押さえているところも心憎い。

とは言え、このようなイベントでは1つのステージで踊り倒すより、あちこちのステージを見てまわりながら、普段は接点のないDJやダンサーなどのアーティストを体験して楽しむのが正解だろう。

我々Festival Tripもメインの2ステージを中心にたくさんの動画を撮影した。フェスティバル会場を歩きまわるように、それぞれの動画をザッピング的に楽しんでもらいたい。

個人的に1番のお気に入りは、やはりBurlesque Tokyoだ。このイベントに参加するまで名前すら知らなかったが、ダンスと歌とセクシーな衣装で楽しませるパフォーマンスは、まさにエンターテイメント。特に3本目の動画の後半は必見だ。

田中知之やKEN ISHIIもしっかりエンターテイメントを意識したプレイだったし、なんだかんだ言ってBro.KORNの歌う姿を見れたのも嬉しい♪  

とにかくたくさんのステージで、たくさんのアーティストを楽しんだ。もちろんそのすべてがカッコ良かったとはまったく思わないが、どのアーティストも目の前のオーディエンスを存分に楽しませていたことは確かだ。

パーティーや音楽というものは、とどのつまり人を楽しませたり、自分が楽しんだりすることが唯一最大の目的だ。もちろん楽しみ方は人それぞれで多種多様だから、同じパーティーに参加しても楽しめる度合いは人によりけりだろう。しかし、実際に楽しんでいる人たちを目の前にして「本当のパーティーっていうのはさ……」などとうそぶいてみたところで1ミリの説得力も持たないことは自明だ。

SANCTUARYとは「聖域」といった意味だが、確かにこの日お台場に、誰もがダンスミュージックを楽しめる聖域が存在した。一方で改正風営法による小さくてマニアックなクラブの摘発などの問題もあるが、ダンスミュージックの敷居が下がり、踊ることの喜びや楽しみを理解する人が増えることで良い方向に向かってくれることを祈らずにいられない。ダンスとはつまり、喜びの解放なのだ。

このように多様なアーティストが1つのフェスティバルに集結したのは、ひとえに主催のDJ DRAGONの人柄なのではないかと想像する。自分はまったく面識もないし、この日もステージでプレイしているのを見ただけで、言葉を交わすことはなかった。しかしそれでもこのフェスティバルに参加して、DJ DRAGONへのリスペクトの気持ちが生まれたのは確かだ。来年以降もSANCTUARYが末永く続くよう、微力ながら応援したいと思う。

最後に、公式サイトに載っていたFLIPLAPSE制作によるOfficial After Movieを紹介しておく。ディレクターのSAKAI氏とはステージ上でほんの少し言葉を交わしただけだが、イベント全体がよくわかる映像に仕上がっている。

 

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